2025年3月7日
シズサカ編集部

Jリーグデビュー飾った御殿場生まれの17歳サイドアタッカーから目が離せない!アスルクラロ沼津のMF中野遥翔が描く未来


J2昇格を目指すアスルクラロ沼津に今季トップチームデビューを果たした高校2年生がいる。御殿場市出身で、沼津市の暁秀高に通うMF中野遥翔、17歳。抜群のスピードで相手の守備ブロックを崩壊させるサイドアタッカーだ。この未完の大器から今、目が離せない。(シズサカ編集部・南部明宏)

中野は2月16日にホームで行われた鳥取とのリーグ開幕戦から3試合連続出場中。3月1日の第3節アウェー栃木シティ戦は後半34分、0−0の状況でピッチに立った。勝負どころでの投入は、元日本代表FW中山雅史監督の信頼を獲得しつつあることの証だろう。

相手の波状攻撃が続く中で必死に目の前の敵に食らいつき、ロスタイムには右サイドをえぐってクロス。17歳とは思えない、堂々としたプレーを披露した。

翌3月2日、中野は静岡県ヤングサッカーフェスティバルが行われた静岡市の草薙球技場にいた。静岡県選抜の一員として、日本高校選抜との試合で後半からピッチに立った。

右サイドのタッチライン際でボールを受けると迷うことなく仕掛け、高校レベルではほぼ負けない1対1の強さを見せつけた。爆発的な加速で縦に抜け出し、ゴール前に何度もボールを供給。クロスの精度には課題を残したものの、両チームを通じても圧倒的な存在感を放った。

左足で刻むドリブル

中野の最大の持ち味は50メートル6秒ジャストの速さと、緩急を生かしたドリブルだ。

ライン際での1対1のシーン。中野は対峙するDFと駆け引きして、相手の動きをいったん止める。自分の間合いに引きずり込んだ後、一気に縦へ。懐に潜り込んだ時点で勝負は決し、ファウルを恐れた相手は両手を上げて見送るしかない。中野は「スピードや初速のところは一番自信がある」と胸を張る。

特徴的なのは、ユース年代ではあまり見掛けない「右利きなのに、左足で仕掛けるドリブル」だ。体の向きを中央寄りにして、カットインもできるし、縦突破もできる角度でボールを運ぶ。小刻みなタッチでボールをさらし、相手が足を出してきた瞬間にどちらかへ。

「意識して練習するようになったのは中2ぐらいから。右足で持つと、やっぱり幅が狭くなっちゃうので、左足でも持つようにしている。でもカットインからのシュートは、まだまだ練習中(笑)」

小学時代から沼津のアカデミー育ち

昨年9月にJリーグに出場できる2種登録を済ませたが、昨季のリーグ戦出場はなかった。今季はシーズン始めからトップチームの練習に参加。中山監督からは「どちらの足でも質の高いシュートを打てるように」と求められているという。

「自分の強みの部分は通用しているなと思うけど、やっぱり全然まだまだ。パスもトラップもトップの選手たちはうまい。技術、体力、いろいろな面で足りないなと思う」

中野は御殿場南幼稚園のスポーツクラブでサッカーを始め、小中学時代はアスルクラロ御殿場U-12、アスルクラロ沼津U-15でプレー。生粋のアカデミー育ちだ。高校に上がるタイミングでプリンスリーグ東海所属の強豪高体連チームに進む選手も多いが、中野は静岡県リーグ所属の沼津ユースにとどまることを選んだ。

「大勢の部員がいる部活動があんまり得意ではないし、高体連ではトップチームに関わることができない。トップに絡んでいけるというのが一番の理由だった」

百戦錬磨のスタッフや先輩たちに見守られ、Jクラブの下部組織でしか体験できない充実の時を過ごしている。

「世代別代表も常に狙っている」


トップチームの選手に比べればまだ線は細いが、サイドアタッカーでありながら180センチのサイズで、50メートル6秒ジャストの恵まれた身体能力を持つ。加えて、取材に応じている時の落ち着きと頭の回転の速さも印象的だ。自分の言葉を使ってこれからの目標を語る。

「世代別代表も常に狙っている。今日(ヤングサッカーフェス)も両チームに世代別代表がいたけど、自分にも負けてない部分はある。追いつき、追い越していきたい」

最大の目標は「やっぱり世界のトップクラブや日本代表で活躍すること」。トップチームデビューでにわかに脚光を浴びる中でも、しばらくは大学進学も視野に入れながらサッカーと向き合っていくという。地に足をつけ、夢を叶えるためにはどの道がベストかを見極めるということだろう。

クラブで定位置を確保してJ2昇格に貢献できた時、18歳の目の前にはどんな選択肢が広がっているか。背番号37のこれからに期待だ。
 

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