2025年9月7日

静岡学園中サッカー部が16年ぶり全国制覇!岡島監督が語る選手育成の考え方とは…「誰にもない特徴のある選手になってほしい」

(左から)鬼頭里枝さん、岡島弘高監督、北村岬輝選手、山田栞汰主将、ヒデさん
SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、第56回全国中学校サッカー大会で16年ぶり2度目の優勝を果たした静岡学園中学の岡島弘高監督とキャプテンの山田栞汰(かんた)選手、北村岬輝(みさき)選手をお招きしました。聞き手はパーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さん(2025年9月2日放送)
(ヒデ)監督、日本一おめでとうございます!
(岡島)ありがとうございます。
(ヒデ)暑さの中での連戦、大変だったと思います。
(岡島)静岡学園高校のサッカーっていうのは多分、ヒデさんもご存知だと思うんですけれど、中学もそれと全く同じものを目指しています。対戦相手がどことか、どんな大会だとかは関係なく、自分たちが練習してきたことを出すということが一番。暑さもありましたけど、まずは全力を出そうと頑張ってくれました。
(ヒデ)それが優勝につながったと?
(岡島)そうですね。普段練習していることしか試合ではできないと思っています。ショートパスと細かいドリブルを使うのが静学のサッカーだと思うので、それを相手関係なく出し続けてくれたなと思っています。
(ヒデ)決勝戦もそうでしたよね。我々も拝見しました。
(鬼頭)しかも宮崎県で開催された大会で、決勝の相手は地元の日商学園ですからね。アウェイというか、すごい雰囲気での試合だったと思います。
(岡島)相手は高校のサッカー部員とかも応援に来ていて、あとは吹奏楽部とかチアリーダーも来ていました(笑)。試合会場もピッチとスタンドがすごく近くて…。
(ヒデ)そんな中で勝ったということは、本当に気分がよかったのでは(笑)。

(ヒデ)北村選手の名前は「岬輝」ですから、サッカーをやるべくしてみたいな名前だ。大会を振り返って、どう?
(北村)対戦相手が九州のチームが多くて、相手の応援も結構あったんですけど、みんなで協力したり、助け合ったりして、自分たちのサッカーができたのでよかったです。
(鬼頭)岬輝君はどこのポジションなんですか。
(北村)ミッドフィルダーでトップ下です。
(ヒデ)そして栞汰(山田主将)!やったね。
(鬼頭)小学6年の高部JFC時代にも出演してくれたんですよね。
(山田)やっぱりアウェイってこともあって、最初はピッチにも慣れなくて、自分たちの全力は出せなかったんですけど、試合をしていくうちに個人やチームで話し合ったり、助け合ったり、みんなで声を掛け合ったりして、決勝まで行けました。決勝でも1回戦とかよりも、みんなが一番良いプレーができて、優勝できたっていうのは嬉しいです。

(ヒデ)監督さんは、やっぱり試合を重ねていくことによって、子どもたちの成長っていうのも垣間見れたんじゃないですか。
(岡島)そうですね。例えば東海大会の決勝は結構差がついて勝っていたんですけど、選手たちがハーフタイムにベンチに戻ってきて喧嘩してるんですよ。選手同士が「こうしろ、ああしろ」「うるせえ」とかって。点が入っている中でも喧嘩してて、僕はそういう光景が結構好きで(笑)。そういう姿を見ていて、試合を通してやっぱり成長していってるんだろうなっていうのは感じていました。
(ヒデ)それで後半からガラッと変わるわけでしょ?
(岡島)そうですね。試合の中でそれを引きずるわけでもなく、お互い言いたいことは言える関係性だっていうのがあると思うんですけど。
(鬼頭)大勝していたら「もういいじゃん」と思うところだけど、そこであぐらをかかずに、「いや、もっとこうできたら」っていうことですよね。
(ヒデ)ベクトル、向かうべき先は一緒ですもんね。
デカい静学の印籠
県大会決勝の常葉大橘戦でドリブル突破を図る北村選手
(ヒデ)今大会、どこが一番きつかった?
(北村)やっぱり相手は「静学」って聞いたら、めっちゃ引いてくるんですよ。
(ヒデ)そりゃそうだよ。印籠がデカすぎて、静学の。
(北村)それで、なかなか崩して点を決めることができなくて、みんな焦ってくるんですよ。そこに相手の応援も加わって…。
(ヒデ)そうか、それでも相手に飲まれないようにしようと仲間を信じて戦えたってことだよね。
(山田)最初の方は結構大差で勝ってたんですけど、準決勝の神村学園戦は全然点が入りませんでした。前半から攻めていても入らなくて、チームとしても焦ってたところも少しはあって。そういう中で岬輝が点を決めてくれて、あとは守備もしっかり守れたのは今大会で一番良かったところです。
県大会決勝の常葉大橘戦で試合をコントロールする山田選手
(ヒデ)2人もハーフタイムに言い争いしてたの?
(北村)喧嘩はないんですけど、僕たちは要求は結構する方です。「右足にパス出して」とか「そこに動いて」とか。
(鬼頭)今大会、岬輝君はめちゃくちゃ点を決めました。
(ヒデ)大会5得点!自信はありましたか?
(北村)ありました。練習でみんなとプレーを合わせてきて、自分は決めるだけだったので。
(ヒデ)才能のある選手や若者たちが集まってるチームですから、監督としては選手起用は頭が痛いんじゃないですか?
(鬼頭)部員は何人いらっしゃるんですか?
(岡島)部員はだいたい1学年20人で、3学年で60名ぐらいです。サッカーをやってたら、試合に出られる、出られないっていうのは大きなことではあると思うんですけれど、入学してくる前からこの子たちとは1人ずつ話をしています。「出れても出れなくても、とりあえず静学で6年間、絶対頑張れ」と。
中学校の時に試合に出れなくて悔しい思いをして高校で活躍する子もいますし、中学で活躍しても逆にそこでちょっと勘違いしちゃう子もいる。中学3年間での悔しい経験もこれから高校で生かして、頑張っていってほしいなと思っています。
(ヒデ)バネにしてほしいですよね。いやあ、それにしてもしっかりした監督。ペナルティのマネジャーやってくれませんか?

(鬼頭)2人とも静学に入ってみて、どうだった?
(北村)僕は小学時代は静岡のピュアFCというところでやってました。入学して最初は、うまい子がたくさんいて苦労してたんですけど、周りがたくさん練習するので、自分もたくさん練習して、どんどん上手くなることができたと思っています。
(ヒデ)周りに引っ張られるし、目標がすぐ近くにいるから超えてやろうってなるよね。
(山田)「静学のサッカーってすごいな」って思って入学して、それにプラスでチームメートが上手いってなると、やっぱり「自分も頑張らなきゃいけない」っていう気持ちになります。
(鬼頭)キャプテンとして、60人をどうやって引っ張ってきたの?
(山田)キャプテンというものをそんなに意識したことはないですけど、サッカーはチームスポーツだから、チームがバラバラになったら試合には勝てないっていうのは小学校の頃から考えてきました。だから、声を掛けるっていうのはずっと試合中でも意識しています。
(ヒデ)16年ぶりの優勝。監督、長かったのでは?
(岡島)そうですね。でも静学は日本一を目指してサッカーをやってるわけではなくて、もちろん勝利を目指してやりますけど、一番は高校やその先で活躍する選手になってほしいということ。なので、手っ取り早く勝つことを教えようとは思っていません。
ただ、勝てなかった間も先輩たちがずっと静学のサッカーを頑張ってやり抜いてきてくれてて、勝てなくてもサポートしてくれて、応援してくれる保護者の方々や関係者の方々がいました。そういう人たちの思いが繋がっての結果だと思います。
(ヒデ)普段はどういった練習をしているの?静学といえば「リズム、テクニック、インテリジェンス」とかってイメージはあるけども。
(北村)基本的にはドリブルとリフティングが一番多いです。基礎技術が高くなるような練習をたくさんしてます。
(鬼頭)岬輝君はリフティングはどれくらいできちゃうの?
(北村)リフティングは…やろうと思えば永遠に…。
(ヒデ)このレベルになると、お腹のすき具合や睡魔次第で全然できちゃうよね(笑)。栞汰は練習でどのようなことを意識していますか?
(山田)個人的にはドリブルは1年生の時から練習始めにずっとやってます。ドリブルして最後にシュートを打つ練習もやるんですけど、試合のどういう場面でやるのかということは意識してます。
(ヒデ)すごいよね。常に試合想定。相手がいるということを考えつつやる。
(鬼頭)YouTubeとか映像では、どういう選手を参考にしているの?
(北村)僕はドイツ代表のトーマス・ミュラー選手です。オフザボールの動きが好きで、参考にしてます。
(山田)僕はモドリッチ選手です。絶対にボールを取られないし、味方の走ってるところにしっかりピンポイントでパスを出せるところがすごいと思います。
(鬼頭)よく聞かれるのは、昔に比べて今の子どもたちはみんなうまいということです。ご指導されてて、監督が感じることは?
(岡島)僕は滋賀県の出身で、中学生の頃なんてリフティングはインステップでしかやったことがありませんでした(笑)。今はインサイドとかアウトサイドとか肩とか、選手にはいろいろやらせてますけど、僕が中学生の頃は情報もなかったので、そんなのできませんでした(笑)。
(ヒデ)昔はサッカー番組もなかったですからね。
(岡島)僕は子どもの頃はマラドーナが好きだったのですが、少しの映像を見て必死にまねるしかありませんでした。今はいろんな情報が入ってくる。でもそれがいいことなのかどうかは…(笑)。
(鬼頭)試行錯誤しているんですね。
「あくまでも通過点」
(ヒデ)さあ、最後に今後の目標を。(山田)最後の高円宮杯に向けてレベルアップして、そこでまず活躍をしたいです。あとは、やっぱり高校に向けて選手としても人としても成長して、もっと上に行けるようになりたいです。
(北村)僕は「高校選手権で優勝したい」っていうのが理由で静学に入ったので、そこでまず全国優勝したいです。あとは個人的には点を取ることと、たくさん走ることを意識してチームを勝たせられる選手になりたいです。
(岡島)今回こういう結果は出ましたけど、ここからさらに地道に努力できる選手じゃないと、上の世界では成功できないと思います。
選手たちには、誰にもない特徴がある選手になってほしい。言われたことをただやる選手ではなくて、「自分はどういうサッカー選手になっていきたいか」をちゃんと考えて、誰にもない特徴を身に付けて、高校やその先の世界で活躍する選手になってもらいたいです。
(ヒデ)あくまでも通過点、途中経過であるということですね。
サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!
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