2025年9月10日

【転売ヤーによる買い占め】ハッピーセットのポケカ転売で見えた現実。そもそも違法?合法?どう対策すべき?
混乱によって起きた「ブランド毀損」

松下:今回の騒動ですが、謝罪すべきはマクドナルドだったんでしょうか。
渡辺:ポケモンカードは今、転売が頻繁に行われていて、「投機的な目的」があると言われるとても希少な商品です。そのため、しっかり販売の仕組みを作るべきでした。このキャンペーンを展開することに関して、マクドナルドの覚悟がちょっと足りなかったんじゃないですかね。
その後、ハッピーセットを2回買ったんですが、ポケモンの景品だけが付くものは結構すんなり買えました。だから、ポケモンカードという転売する目的があるものに関しては、きっちり対処するべきでした。ということは、ある意味謝罪すべきなのかもしれませんね。
松下:「普通の景品とポケモンカードはちょっと違うんだぞ」ということをマクドナルド側ももう少し認識しておけば、こういうことにはなりえなかったんじゃないかということですよね。
渡辺:認識はしていたと思いますが、認識が浅かったんでしょうね。ポケモンカードをおまけにつければ、短期的に売り上げが確実に上がりますよね。
松下:今すごくブームですからね。
渡辺:今回、マクドナルドは「ブランド毀損」をしてしまいました。短期的に売り上げが上がることよりもそちらの方がマイナスだなと思います。ポケモンカード側もおそらく、「マクドナルドにこんな形で提供すると問題が起こる」というのはわかっていたはずです。両者とも、かなりブランド毀損に繋がってしまったんじゃないかなと思いますね。
松下:一方で、ハッピーセットで混乱が生じることは今回のポケモンカードが最初というわけではなくて、以前も「星のカービィ」の景品のタイミングなどで起こっていたような気がします。その点はいかがですか。
渡辺:星のカービィの時だけではなく、数回、すぐに品切れする問題が起こっていたので、そこできっちりと対策を取るべきだったのは間違いないと思います。特に、ポケモンカードは投機と転売の異常性が高いので、よりしっかりと対応すべきだったんじゃないかなと。
たとえば、本来の目的に戻して子供だけに売る、数量制限や事前予約を行うなどの対策が考えられます。なかなか店頭でそうしたことをやるのは難しいんですが、ポケモンカードはそれぐらい対策をしないと問題が起きることはわかってたんじゃないかなと思いますね。
あの新作ゲーム機でも転売が…
松下:今回のハッピーセットの話題で、改めて「転売」という言葉が非常にクローズアップされたような印象がありました。ニンテンドースイッチ2についても、「転売」という単語がかなり注目されたニュースにはなっていました。スイッチ2に関しては、いわゆる「転売ヤー」と言われる方々を封じ込められてたんじゃないかなという感じもしますが、どうですか?渡辺:ニンテンドースイッチ2は予約制で、予約で事前に当たった人しかほぼ買えない仕組みでした。また、家電量販で売るときもゲリラ的に販売し、「何時に販売するかわからないように販売する」というような形が取られています。家電量販店は外食やコンビニエンスストアのように不特定多数のお客さんが来る場所ではなく、常に人が殺到してる状況ではないので、スイッチ2を売る場所という点では管理しやすいのだとは思います。
ただ、スイッチ2も、最初に出荷する時に「元々どれぐらい売れるか」は任天堂はわかっているはずです。なので、お客さんが殺到しないような売れ数を最初から提示しながら、時期に合わせて発売するということは必要なんじゃないかなと思います。それをやると希少性がなくなり人気がなくなってしまうっていう、企業側の裏腹はあるんですが。転売が発展している時は、ある程度の数量を用意して売ることは大事なことなのではないかと思います。
松下:あまり商品を出し過ぎても希少性がなくなってしまうし、出さなすぎてもこういった混乱が起きてしまう。企業側にとっても難しい計算ではありますよね。
渡辺:難しい計算ではあるんですが、フリマサイトなどができて転売しやすくなった状況で考えると、対策をさらに踏み込んでやっていかないと結局ファンは離れていったり、転売に対する不満は高まっていったりするんじゃないかなと思います。
「転売禁止」を明示するのも一つの手!
松下:「転売ヤー」という言葉もかなり定着してきたように感じますが、転売そのものに違法性というものはあるのか改めて教えていただけますか。渡辺:転売そのものには、違法性はないです。ただし、売主が「転売禁止」と明示している商品を買って転売する場合は、詐欺罪が成立する可能性はあるようです。だから、「転売目的は禁止」ということをもっと明確に打ち出しながら販売していくのは重要かもしれないですね。もしくは、詐欺罪みたいなものの適用が今後、法律でされていくとすれば、転売される数も減ってくるんではないかなとは思います。
松下:今後、法律の改正も状況に応じては起こりうるということですか。
渡辺:改正というよりも、法律の解釈なんでしょうね。ただ、今回のハッピーセットのようなことは引き続き起こりうるものではあるため、マクドナルドに限らず企業側の対策は当然必要になってきます。
松下:そうですね。
渡辺:お客さまが買いやすい対策をするのは第一ですが、基本的にはブランド毀損しますよね。今回のマクドナルドにしてもポケモンカードにしても、転売の問題があると、「とんでもないな」という印象を持たれ、ブランド毀損って長く続いてしまうんですね。だから、お客様が納得するような形で販売していくべきなんじゃないかと思います。
松下:規制が強くなっていく中でも、まだ転売をする人っていうのは増えているような印象です。転売ビジネスという言葉もありますが、転売ヤーは「旨みがあるな」って感じるものなんですかね。
渡辺:転売ヤーはこれから規制を強めると少なくはなってくと思うんですけど、ゼロにはならないと思います。そこはゼロを目指そうとせず、少なくするっていう状況にした方がいいです。
転売ヤーも転売できなくなると旨みがなくなってくるんですが、ポケモンカードの場合は世界的に投機的転売の目的になっているので、日本で規制しても海外で売ることができてしまう。だから、日本の中では規制できても世界的に規制できないというものは出てくるんじゃないかなと思います。
松下:転売が増え続けている現状なので、消費者である我々も考え続けないといけないことだと改めてわかりました。渡辺さん、ありがとうございました。
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