2022年9月12日
SBSラジオ IPPO

猛暑の影響で蚊の活動時期はこれから!?

水たまりの数が蚊の発生を左右する

今年の夏は例年に比べ蚊をあまり見かけなかったと思いませんか? 実は今年はこれから蚊の活動が活発になる可能性があるそうなんです。

今年の夏はなぜ蚊が少なかったのか、蚊に刺されやすい人の傾向や、刺されないための対策などとあわせて、害虫防除技術研究所所長の白井良和さんに、SBSラジオ『IPPO』パーソナリティの原口大輝アナウンサーが聞きました。
※8月26日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

蚊は強い日差しよりも雨が好き?

原口:たしかに今年はあまり蚊に刺されないと思っていたところでした。今年の夏はなぜ蚊が少なかったのでしょうか?

白井:一言でいうと、今年の夏は暑すぎたということです。蚊というと夏のイメージが強いですが、実は蚊は日差しが強すぎる暑いところにはあまりいなくて、日陰を好みます。気温も15〜30度が蚊の活動に適しているといわれているんです。

原口:その気温だと、蚊の活動時期は春から夏頃にかけてでしょうか?

白井:一口に蚊といっても種類があり、それによって活動時期は異なります。日本で一般的な蚊は下記の7種類になります。各々のおおよその活動時期を記してみました。

・アカイエカ……4〜11月
・ヤマトヤブカ……5〜9月
・ヒトスジシマカ(やぶ蚊)……5〜10月
・オオクロヤブカ……6〜9月
・コガタアカイエカ(コガタイエカ)……7〜9月
・シナハマダラカ……7〜9月
・チカイエカ……一年中

地下のマンホール内に生息するチカイエカは一年を通して活動しています。

原口:気温以外でも、蚊が好む環境条件はありますか?

白井:蚊の幼虫が育つためには水たまりが必要になります。雨が少ないとそもそも水たまりが少ないので幼虫が育たず、成虫も少なくなります。

逆に雨が多いと水たまりも増えるので、蚊も多くなります。これから台風などで雨が多くなってくると、また蚊も増えてくる可能性があるというわけです。

原口:なるほど。水たまりが多いか少ないかによって、蚊の数も変わってくるということなんですね。

なぜ蚊は人の血を吸う?刺されやすい人とそうでない人の違いは

原口:そもそも、なぜ蚊は人の血を吸うのでしょうか?

白井:メスだけが産卵に必要な栄養分を血液から得るために人や動物の血を吸います。

原口:蚊に刺されやすい人と刺されにくい人がいるように感じます。私自身は刺されやすい体質だと思うのですが、この違いは何でしょうか?

白井:蚊は温度、二酸化炭素、水分に反応しますので、蚊に刺されやすいのは、体温が高い人、呼吸が活発で二酸化炭素を多く出している人、汗かきの人になります。

蚊は視覚的にも判断しているので、色黒の人の方が刺されやすいと言われています。色白や冷え性、体温の低い方は刺されにくい傾向にあります。

原口:例えばキャンプなどで動いて体温も高く、汗をかき、二酸化炭素を排出している人というのは刺されやすいわけですね。

白井:その通りです。

原口:私も高校時代に野球をやっていたとき、汗まみれのユニフォームによく蚊が寄ってきた記憶があります。運動中も蚊に刺されやすいのでしょうか?

白井:激しく動いている最中はあまり刺されませんが、休憩時など動きが止まった時は刺されやすいと思います。

原口:蚊に刺されやすい血液型があるという話も聞きますが、本当に関係があるのでしょうか?

白井:私と海外の研究者で二つの研究を行っており、O型、B型、AB型、A型の順に刺されやすかったという結果がありますが、これは血液型物質によって左右されたというより、O型の人に温度、二酸化炭素、水分という蚊が好む要件を持つ人が多かったからと考えています。

蚊に刺されないためには?

原口:蚊に刺されないための対策について教えて下さい。

白井:蚊は肌を刺して血を吸うわけですから、肌の露出を控えること。長袖長ズボン、首回りを覆う、サンダルではなく靴下と靴を履くなどの対策が有効です。先ほども視覚について触れましたが、蚊に認識されやすい黒や紺など暗い色の服よりは、白や黄色などの明るい色を着た方が蚊は寄ってきません。

タイトな服だと服の上から刺される可能性があるので、服と肌との間にゆとりがある大きめの服の方がいいでしょう。

あとは市販されているディートやイカリジン配合の虫よけ剤を塗るのももちろんいいですし、蚊取り線香を腰につけるといった対策もあります。

刺されたかゆみを抑えるには?

原口:刺された箇所を爪で強く押すといいとも聞いたことがあるのですが?

白井:これは痛みによってかゆみを紛らわすということですね。たしかに一時的にはかゆみが収まるかもしれませんが、痛みがなくなるとまたかゆみが戻ってきてしまいます。爪で強く押して肌を傷つけると細菌感染のリスクもあるので、おすすめはしません。

蚊に刺されないための虫除け剤と虫刺され用のかゆみ止めを、家の各所や車の中にも備えておきましょう。

今年は例年以上に、9・10月に蚊が発生する可能性があります。家や車の中にも入ってきますので、各自でとれる対策をしっかりとっていただきたいと思います。

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