2023年12月24日
静岡新聞運動部

【静岡の高校サッカー戦後史Vol.26】藤枝東が微妙な判定に泣いた1972、73年度。全国選手権で2年連続準優勝

【藤枝東高⑰】判定に泣き連続準優勝

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。

1973年度全国選手権決勝、中村一義の“幻のゴール”=大阪・長居競技場


微妙な判定に泣くのも、勝負の世界の現実である。1972年(昭和47年)度と73年度の藤枝東は、この現実に直面し、2年続けて頂上決戦を落とす。

まず72年度。山形県で行われた全国総体に前年度優勝校枠で推薦出場し、連覇を目指した。しかし、秋田商との準決勝で、2点のリードを守り切れず、延長の末、2−3で逆転負けして連続優勝を逃した。

浦和市立との決勝、服部康雄のヘッドで延長持ち込むも…

総体準決勝でよもやの逆転負けを喫し、出直しを図るべく全国選手権に挑んだ。激戦の県予選を突破して臨んだ本大会は、準決勝で関西大倉(大阪)に苦戦したものの、決勝に駒を進めた。

決勝は浦和市立(現・さいたま市立浦和)と対戦した。激しい雨でピッチ状態は不良で、技のチームには不利と思われたが、押し気味に展開した。先手こそ取られたものの、0−1で迎えた後半38分、1年生で後に母校を率いる服部康雄(藤枝市在住)のヘッドシュートで延長に持ち込んだ。

延長も攻勢だったが、思わぬ展開が待っていた。前半7分、後方からのロングボールに相手のFW、清水秀彦(後の横浜Mなど監督)が鋭く反応したが、一瞬、藤枝東最終ラインの動きが止まった。

オフサイドと判断したからだった。「明らかに体一つ出ていた」と、FBで主将の岩田要司(藤枝市在住)。だが、副審の旗は上がらず、独走した清水に難なくゴールにけり込まれた。これが決勝点だった。

73年度もオフサイドの判定に泣く

次いで73年度。全国総体出場は逃したが、その分、全国選手権に注ぐ思いは熱かった。主将の内藤洋介(藤枝市在住)によると、「勝たなければならなかった」との思いが強く、使命感を持って県予選を勝ち抜き、正月本番のピッチを踏んだ。

実力は折り紙付き。前評判通りの戦いぶりで決勝に進出、北陽(大阪、現・関大北陽)と顔を合わせた。

開始早々、内藤のシュートで先制しながら逆転され、1−2で迎えた後半18分。攻め上がった内藤のシュートのこぼれを中村一義(藤枝市在住)が押し込んだ。「同点」と思われたが、オフサイドの笛が鳴った。大会後もしばらく是非が問われた判定だった。

高校在学中に日本代表入りしたほどの逸材だった中村。今は「オフサイドもサッカー」と冷静だが、同点機を逸し2年連続準Vに終わったとあって、当時は「審判を恨んだ」と明かした。(敬称略)

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