2024年3月11日
静岡新聞運動部

【静岡の高校サッカー戦後史Vol.35】清水東が1972年度、全国総体初制覇!静岡県勢としても3連覇

【清水東高⑥】粘り勝ち、総体初の栄冠

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。

山形総体決勝。鋭く秋田商ゴールを襲う

山形県を会場地にした1972年(昭和47年)度の全国総体は、静岡県勢の3連覇が焦点の一つだった。70年度の和歌山総体で浜名が初出場初優勝をやってのけ、71年度の徳島総体は藤枝東が2度目の優勝を飾っていたからだ。

県勢V3が懸かった大会の県代表は、藤枝東と清水東だった。藤枝東は前年度優勝校として推薦出場、清水東は県予選を勝ち抜いて5年ぶりに全国に名乗りを上げた。

勝沢氏「勝てなければ辞める覚悟だった」

清水東は70、71年度と2年続けて県予選決勝で涙をのんだ。しかも、決勝で対戦した浜名と藤枝東が相次いで全国制覇を達成したとあって、「今度こそ」の気持ちを込めて県予選を戦い抜いた。

監督の勝沢要(静岡市清水区在住)は、県制覇を「三度目の正直」と受け止めた。勝沢は前年度の県決勝で敗れた後、日本サッカー協会のコーチングスクールを2カ月間受講し、サッカーを多角的にとらえる目を養った。その成果が「三度目の正直」だった。

HBの太田富夫(現・窪田、清水商教)は、山形での戦いを前に勝沢が「優勝するんだ」と、何度も口にしたのをよく覚えている。勝沢は「勝てなければ辞める覚悟だった」といい、その思いを「優勝する」の言葉に込めていた。

指揮官の思いは伝わった。清水東は敦賀(福井)向が岡工(神奈川)帝京(東京)を連破して8強入り。準々決勝は運も味方に付けて広島市商(広島)に抽選勝ちし、準決勝は児玉(埼玉)に2−1で逆転勝ちした。

一方、推薦出場の藤枝東も順調に準決勝に駒を進めてきた。ところが、第1試合で秋田商(秋田)に逆転負けを喫した。清水東の面々は「藤枝東が勝つと信じて」、児玉戦に備えアップしていた。太田もその一人で負けを知って「あぜんとした」という。

秋田商業との決勝、延長で志田が決勝点!

決勝は藤枝東を破った秋田商が相手だった。準決勝に続き前半に先手を取られたが、後半追い付き、延長にもつれ込んだ。しかし、しぶとさで上回っていた。1−1で迎えた延長前半3分、志田秀樹がCKを生かして決勝点をたたき出した。

2度目の出場でつかんだ栄冠。県勢総体V3も達成した。「目の前の試合だけに集中してきた」とセンターバックの西ケ谷隆司(静岡市東京事務所)。その結果が全国制覇であり、「負けても泣いたことがない」西ケ谷の顔が涙にぬれた。うれし涙だった。(敬称略)

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