2024年1月4日
静岡新聞運動部

【静岡の高校サッカー戦後史Vol.27】1984年度、藤枝東が再び躍動!“ゴン中山”擁し全国選手権ベスト4!

【藤枝東高⑱】速さ生かして全国4強

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。

1984年度全国選手権県予選を制し、表彰式後の記念撮影=県営草薙球技場

鎌田昌治監督の就任

1978年(昭和53年)度、藤枝東は大きな転機を迎える。20年間、指揮を執り、全国屈指の強豪に導いた長池実(故人)が浜松商に転出したのだ。

後任は教師4年目、25歳の鎌田昌治(藤枝市在住)。長池の教え子で、70年度の全国選手権決勝で浜名との“同県対決”を制したチームの主将である。藤枝東は若々しい指揮官の下で、新たなスタートを切った。

新監督に率いられたチームは県総体でいきなり結果を出し、全国行きの切符を獲得する。全国総体出場は6年ぶりだった。「いい選手がそろい、優勝も狙えるチーム」と鎌田はみていた。その言葉を裏付けるように、GKの菅藤昌則(藤枝市在住)ら4人を国体県選抜に送り出している。しかし、福島での本大会は3回戦で佐賀商(佐賀)に延長の末、PK負けを喫した。

翌79年度、6年ぶりに選手権で全国行きを決めるが、1回戦で敗退。82年度には4年ぶりに全国総体に駒を進めるものの、3回戦で姿を消し、全国舞台での存在感はすっかり希薄になっていた。

ライバル清水勢に勝つには…

だが84年度、全国選手権のピッチで再び躍動する。

当時、県内の高校サッカー勢力図の中心は清水勢で塗り固められていた。「清水に勝つには」。思案する指揮官の鎌田が導き出した答えは「前線のスピードを生かすこと」だった。

右から渡辺剛(藤枝市在住)中山雅史(J札幌)紅林豊(島田市在住)と並ぶ3トップは俊足が売り。従来のつなぐサッカーのイメージからかけ離れ、「藤枝東らしくない」と評されながらも、FWトリオの速さを生かす戦法に徹した。

県予選決勝で“ゴンゴール”

清水勢の一角、東海大一(現・東海大翔洋)と対戦した秋の県予選決勝の先制点は、3トップを生かす作戦が生み出したものだった。後方からのパスを受けた中山が一気にゴールを奪い、劣勢だった流れを変えて、勝利を引き寄せた。

正月の本大会も持ち味を生かした攻めで準決勝に勝ち上がった。準決勝は再三の決定機を逃し、PK戦で島原商(長崎)に屈しはしたが、11年ぶりの上位である。

新チーム発足直後は県内でも苦戦し、新人戦は県大会初戦で敗れ去った。このため「目の前の試合にだけ集中してきた」と主将の植田光紀(愛知県春日井市在住)。常に全力投球し、戦い抜いた答えが全国4強だった。(敬称略)

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