2024年10月20日
論説委員しずおか文化談話室

【「朝霧JAM2024」朝霧JAMS’堀内潤代表インタビュー 】 「やりたいこと、楽しいこと、みんなで考える」

静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は10月12~13日に富士宮市で行われた野外音楽フェスティバル「朝霧JAM(ジャム)」のリポート第3弾。会場内外でフェスを支えるボランティアグループ「朝霧JAMS’(ジャムズ)」の堀内潤代表へのインタビューをお届けする。取材は13日朝、フェスの会場で実施した。 (文・写真=論説委員・橋爪充)

朝霧JAMS’の堀内潤代表(左)と田島孝之副代表


-朝霧ジャムズの特色は何でしょうか。

堀内:やりたいことをみんなで考えて、楽しそうなことをさせてもらう、自由なボランティアですね。例えば、多くの地元の酪農家が飼料や燃油の高騰などの影響で苦しい状況に置かれていることを受けて、「朝霧に来たら牛乳を飲もう!」というキャンペーンを会場で実施したり。お客さんを誘導する時に、ただ事務的にリストバンドをチェックするのではなく、お客さんが自ら手を挙げてくれるようなパフォーマンスをしたり。自分たちも楽しみながらやっています。

-会場での役割について。ごみ分別の案内をする「環境部」、観客への会場内での案内や誘導を行う「整理部」、子どもたちの遊び場を運営する「キッズランド部」、観客の体調不良に対応する「救護部」などがありますね。

堀内:地元のPRを行う「朝霧ランド」の運営もあります。ジャムズの公式グッズ、Tシャツの販売も行います。

-どんな人が、どのぐらい参加しているんでしょう。

堀内:今年はコアメンバー24人。当日ボランティアは192人でした。県外から来る方も多くて、遠いところでは西は兵庫。東は茨城からの参加がありました。昨年は116人だったから、大幅に増えましたね。年初からなんとか200人を目指そうと言っていましたが、ほぼ達成できたかなと。

-募集時に工夫しているところはありますか。

堀内:富士、富士宮両市の高校にフライヤーを送って、ボランティアの参加を呼びかけています。学校の対応次第ですが、中にはボランティア部が活動している学校もあるので。PTA関係者のLINEで情報共有してくれた学校もありました。地元の高校生たちは意外とこのイベントを知らないんです。参加した方々は「こんなに楽しいフェスがあったんだ」と言ってくれています。この流れをつなげていけたらいいですね。

-全国の野外フェスはボランティアの力が必須ですね。2001年に始まった朝霧ジャムはフジロックと共に、その役割についての「ひな形」を作ってきたのではないでしょうか。

堀内:僕は2004年からジャムズに関わっています。2001年からやってきたメンバーのやり方を引き継いでやっている。2020年以降はコロナでボランティアの希望者の数が落ち込みましたが、今年はこうやって200人近くまで戻ってきた。つまり、最初のやり方や方向性が間違っていなかったんだと思います。富士山の下で、ボランティアも楽しみながら仕事する。それが、独特の開放感を生んでいます。

-合い言葉の「笑顔と元気のおもてなし」がそれを象徴していますね。風景の一部に彼ら彼女らがいることが、朝霧ジャムの居心地の良さにつながっている。

副代表の田島孝之さん:ごみ捨てに来た人が「ありがとう」と言われることはなかなかないだろうし、ジャムズのメンバーによるバスの乗客のお見送りも名物になっている。他のフェスにはない雰囲気づくりはできていると思います。

-今後の活動について、考えていることはありますか。

堀内:今年は当日ボランティアの方々に、募集を知った契機を訪ねています。来年以降、募集についてはこれを生かしていこうと。会場でのやり方は間違ってはいないと思います。僕らは常にお客さん目線。それが「おもてなし」につながっています。



静岡新聞の論説委員が、静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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