
「気象庁の発表していただく情報にしたがって行動を」ロシア・カムチャツカ半島沖の大規模地震 津波工学専門家 常葉大学の阿部郁男教授に聞く

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
津波工学が専門の常葉大学・阿部郁男教授にお話を伺います。まず、ロシア東部での地震ということで、7月20日にもここでは規模の大きい地震がありましたよね。今回の地震は本震と考えていいんでしょうか。
<常葉大学社会環境学部 阿部郁男教授>
そうですね。これだけの大規模の大きな地震ですので、これが本震というふうに思っていただいてもいいのかなっていうふうに思います。
<滝澤キャスター>
そうすると再び連動して地震が起きる心配もあると思うんですが、改めてメカニズムを解説してください。
<阿部教授>
今回起きた地震は要するにプレートの下に海のプレートがいて、太平洋プレートが潜り込むことによってその潜り込んだ力に耐えられなくなって陸の方のプレートが跳ね上がって起きたプレート境界型の地震という東日本大震災であるとか、それから南海トラフ地震と同じような地震になると思います。
実はこの周辺では時々地震が起きてまして、7月30日の地震はマグニチュード8.8となっています。これと近い場所をもっと日本に近い場所でですね。2006年に同じようなプレート境界型の地震が起きていまして、それも今回と同じような逆断層地震だったんですが、その2か月後にそれとちょっと対をなすような形で正断層地震という違うその引っ張りの力で起こる地震が起きてます。
<滝澤キャスター>
逆断層地震というのは今回起きましたけれども、地盤が圧縮される力によって起きる地震。正断層地震は逆に引っ張られる力によって起きる地震で、これが2006年、7年と連動して起きてるわけですよね。なので今回逆断層が起きてるので、今後正断層の地震があるかもしれない。こういうことなんですね。
<阿部教授>
はい。東北の方でも、明治の三陸津波の37年後にですね。同じような形で地震がセットで起きていますので、これいつ起きるかわからないんですが、起きる可能性はあるというふうに思ってます。
<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
この千島列島沖地震のときは、2006年11月に逆断層が来て2007年1月に正断層が起きたということで、ここは2か月でしたけれども、以前のものは30年ぐらい開く場合もあります。その正断層が起きるかわからない。
<阿部教授>
わからないんですが、セットで起こることが非常に多いので、これに警戒が必要かなっていうふうに思います。
<水野キャスター>
今回、津波警報が出されてから9時間ほどたっているということなんですけども、この波が高い状態ってのがどうしてこんなに長く続くんでしょうか。
<阿部教授>
これは今紹介させていただいた2006年の地震と同じような形になるんですが、こちらにちょっと津波の伝わり方をまとめさせていただいたんですが、この千島列島であるとか、カムチャツカの方で津波が起きますと津波で発生したとこから直接来る波、直接波。それから千島列島伝いに伝わってくるエッジ波。太平洋の方に海の中に山がありまして、それが列を成している海山列っていうふうなものがあり、それから跳ね返ってくる散乱波っていうふうなものが起こります。
こういった3つの波が重なることによって、より複雑な津波の起こり方をして後の方から高い津波が観測されたりとか、いつまでたってもなかなか津波が収まらない。こういったことが起こり得るんじゃないかなっていうふうに思います。
<水野キャスター>
津波の発生源から直接来る直接波。そして島伝いに来るエッジ波。そして海山列に一度ぶつかってから、日本の方に来る散乱波と3種類、時間差であるということなんです。
<阿部教授>
時間差で来ますので、その波が重なると複雑な動きになるかなっていうふうに思います。
<水野キャスター>
これからどのぐらい続くかっていうのは、その複雑の動きでわからない?
<阿部教授>
複雑なので分からないんですが、気象庁がずっとしっかり津波の観測をしていただいていますので、気象庁の発表していただく情報にしたがって動いて行動していただいた方がよろしいかと思います。
<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
静岡県は南海トラフ巨大地震による大きな被害が想定される地域でもあります。遠方の地震ではあるんですが、この大きな地震が日本での地震活動を誘発する可能性はあるんでしょうか。
<常葉大学社会環境学部 阿部郁男教授>
その影響はですね。ちょっと考えにくいかなと思ってます。ただ今回のいろいろな方が避難されて、実際その避難してみて、暑いとこで本当に大変な思いをされたと思うんですけど、南海トラフ地震が起きたら停電とか起こりますので、エアコンとか絶対使えなくなりますから、そういった面での心配はあろうかなというふうに思っています。
<滝澤キャスター>
特に7月30日は暑かったわけですけれども、改めて夏場の避難はどういうところがポイントになるでしょうか。
<阿部教授>
もうこれからの時代はやっぱり暑さ対策ですね。特に体育館なんかが避難所になっているケースがありますので、そういったところはですね。冷房の設備もございませんから、暑さをどうやってしのぐか電気もない中でっていうのをしっかりこれから計画に組み入れていただくというのが大切かなっていうふうに思います。
<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
計画というのは、自家発電などをしっかり整備していくそうですね。
<阿部教授>
そうですね。
<滝澤キャスター>
ただ、今回、当初、津波注意報が出て警報へ引き上げられて、そして1日程度高い津波に気をつけてくださいという情報があって、このタイミングでの津波注意報というところでやや混乱してしまいがちなようなところもあったと思うんですね。そのあたりはどうとらえますか。
<阿部教授>
最初に出てきた地震の情報がマグニチュード8だったんですね。あの場所でマグニチュード8の地震が起きれば注意報なんですけど、その後どんどん解析が進んでいってマグニチュードを最終的に8.8まで上がりました。8.8になると、津波警報ぐらいの津波が想定されるというふうなことになったのかなというふうに思います。
<滝澤キャスター>
数字が詳しく出てきて、その結果の切り替えだったというところで、私たちは最新の情報を常に気にかける必要があるわけですね。
<阿部教授>
最新の情報をぜひ気にかけていただきたいなというふうに思います。
<滝澤キャスター>
そして8月で南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されてから1年となります。改めて備えというところで総括をしていただいてもいいですか。
<阿部教授>
南海トラフ地震はとにかくですね、突然、今回の地震もそうなんですけど、突然発生するわけなんですね。そうするとですね。私たちがその避難とか、いろんな対応力が試されてくるような形になるのかなと思っていますので、今回のものをぜひ教訓に、暑さ対策でもそうなんですが、ぜひいろんな見直しを進めていただくきっかけになればなっていう風に思ってます。
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