2025年9月27日
静岡新聞運動部

「サッカーって楽しい。もうそれ以上でもそれ以下でもない」元日本代表の小野伸二さんが故郷静岡のサッカー少年たちに伝えたいこと


サッカー元日本代表の小野伸二さん(沼津市出身、清水商高出身)は、Jリーグが全国各地で主催する小学生向けサッカー教室「スマイルフットボールツアー」で講師を務めています。小野さんも幼い頃にサッカーの魅力を知り、「サッカーがなければ僕という存在も生まれなかった。人との出会いのおかげでサッカー人生を送れているので恩返しをしたい」と思いを語りました。

―地元静岡での開催。
誕生日なので(教室開催日の9月27日が46歳の誕生日)、この日に静岡に来られて、静岡の子どもたちと一緒にサッカーをできる。これほど嬉しいことはない。やっぱり静岡の子ですから、いいスキルを見せてほしい。

地元はいつまでたっても変わらないもの。静岡はサッカー王国というプライドもあった。そういう中で、子どもたちと一緒にサッカーができる、その喜びを味わいたい。子どもたちが心からサッカーを楽しめてるのか感じたい。

―自身が小学生のころに教わった思い出は。
小さい時は教えてもらうことしかなかった。セルジオ越後さんという偉大な方に出会って、ぼくだけじゃなくて、ヤスさん(三浦泰年さん)もカズさん(三浦知良さん)もそうですけど、そのことをみんな覚えてる。

その時はセルジオさんっていうのは知らなくて、でもなんだあのうまい人はと。ヤスさんもカズさんもセルジオさんとの出会いはみんな今でも言うというのはすごいこと。それを引き継いで、そういうものを残していかなきゃいけないと感じた。

―子どもたちにはどういう機会にしてほしいか。
とにかく楽しんでもらって、終始笑顔があふれる時間であってほしい。男の子も女の子も参加する。夢を持ってもらって、静岡からたくさんJリーガーや日本代表、世界で活躍する選手になってほしい。

―自身のプレースタイルのルーツは。
自分はたくさんのライバルが周りにいてくれたというのが大きかった。そういう選手たちを超えていかなければトップにはいけない。そういう環境があったというのはすごく大きかった。

プロであればお金を払って見に来てくれるお客さんがいて、そういう人たちがまた来たい、この試合を見たい、この選手を見たいって思ってもらえるようなことを常に考えた。そういう気持ちはずっと変わらず持ち続けている。

―子どもの当時と今とサッカーの環境で何か違いを感じるか。
クラブチームが発達したというのは大きな環境の違い。早めにいい環境、いいグラウンド、いい設備でトレーニングできるように変わってきた。時代が変わってるので、なんとも言えないが、そういう中でも静岡は常にトップにいてほしいという願いはある。

―静岡のサッカーのレベルをさらに上げていくために必要なことは。
中学も高校も全国大会で静岡が優勝するというのが必須じゃないかなと思う。そうすることで県内はもちろん他県からもまた鍛えられた選手たちが溢れてくるんじゃないかなと思う。

―今の小学生たちにどんなことを意識してサッカーに取り組んでほしいか。
今はあらゆるものが変わって、海外の試合もテレビで簡単に見れる。目指すものが変わってきている。僕自身が小さい時は、周りにいる仲間やライバル、10歳、一回り離れればヤスさんカズさんがいた。目指すものがたくさん目の前にあった。それがすごく大きかった。

こういう人たちを乗り越えていかなければ静岡のナンバーワンになって日本のナンバーワンにはなれない。そういうことが僕らの時代にはあった。今は近くにあるものよりもテレビで見るものが大きすぎる。

結局目の前で見る大切さは、体験しないと分からない。テレビで見てもそれってすごいけど・・・ということになる。リアリティーがないというのは今の子たちにとっては難しい。自分でどうプレーするのか、イマジネーションも含めて養えるかというのはすごい大事。

―今の時代でサッカー少年だったら、どう上達していく道筋を描くか。
今はゲームソフトもスマホもあって楽しいことが増えた。自分がそこを我慢できるかは、今この時代に生きてみないとわからないこと。今の子たちはある意味いろいろなものが発達していいが、逆にそれを邪魔することも多くある。

自分がそうなった時に、サッカーが1番だと思えるかはやっぱり今の時代を生きてみないとわからない。目標と強い意志を持つことはサッカー選手に限らず、何かを成功させる人はみんなそうやっている。

―サッカーを楽しんでいるイメージが強い。
だって楽しいじゃないですか。自分はもうそれ以上でもそれ以下でもない。ボールがなければ自分という存在の意味がないぐらい、サッカーは僕にとっては大事なこと。サッカーがあるおかげでみんなに知ってもらった。サッカーがなかったら僕という存在も生まれない。

職業とは思っていないが、自分が好きなことでお金をもらって、ご飯を食べられて、そういう生活ができる幸せは、当たり前のことじゃない。僕は常にサッカーをしてるのではなく、サッカーをさせてもらっている。周りがいてくれてサッカーができる。そういう考えで常にいる。そういう人たちをどうやって楽しませるかということを常に考えていた。それでいろんな発想が生まれて、みんなをワクワクさせる、来てくれてる人がまた来たいって思ってもらえるような環境を、試合だけじゃなくてトレーニングから多くの人に見てもらいたいとずっと求め続けてきた。

もちろん結果はすごく大事だが、それ以上に、今の子たちには来てくれてる人達をどうやってまた来てもらえるんだっていうことをもっと意識してほしい。「おっ」「あっ」と驚くようなプレーをする選手は今少ない。そういう選手が増えることで、またファンサポーターが興味を持って見に行きたいとなる。サッカースタイルがどんどん変わってきて大変なのかもしれないが、大変であってもできないわけじゃない。そこも意識させるような指導があってもいい。

―サッカーに対してそのような認識を持ったきっかけは。
サッカーを始めたきっかけもそうだが、人との出会いがなければ今の自分というものが生まれていないし、サッカーができる環境ではなかった。出会いをすごく大事にしてきたので、そういう人たちのおかげで自分がこうやって幸せにサッカー人生を送れている。そういう人たちに対して恩返しをしなきゃいけないという気持ちだけです。

―子どもたちにメッセージを。
サッカーを教えるのではなく、サッカーの楽しさをみんなに伝えたい。サッカーボールがあるだけでこんなに楽しい時間を過ごせるということに気づいてほしい。それがきっかけでいろんな夢を持ってほしい。それはサッカーだけじゃなくていいと思っている。そういうヒントを少しでも皆さんが感じてもらえるような時間にできたらうれしい。

静岡新聞社編集局運動部がサッカーや野球、バスケットボール、ラグビー、バレーボールなど、さまざまなスポーツの話題をお届けします。紙面では紹介しきれない選手たちの表情や、ちょっとしたこぼれ話をお楽しみに。最新情報は運動部の公式X(旧Twitter)でチェックを!

サッカー
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