2026年1月21日
ママイロ

中学生の娘からセンセーショナルな事件を題材にした“大人向けの小説”を読みたいと言われた。出版物に「R15+」のような指定はないけれど読ませていいのか迷う

Q. 小学生の頃は児童書を読んでいた娘。大人向けの小説を読むのは何歳から?

先日、家族で書店に行ったときに中学2年の娘から、実際に起きたセンセーショナルな事件を題材にした小説を読みたいと言われました。大手出版社から出ている、発売当初は話題になった作品です。

娘は決して読書家というわけではありません。本は年に数冊を学校の図書館から借りてきて読む程度です。「学校の図書館から借りてきている本」ということで親としては安心し、どんな本を読んでいるのか、これまではそれほど気にしていませんでした。

子どもの読みたい気持ちにNOを言いたくない!と思うのですが、出版物には映像作品のように「PG12」「R15+」といった年齢制限もないので、内容的に読ませていいものなのか迷います。

この本に限らず、大人向けの小説というのは、何歳くらいからが対象になるのでしょうか。(相談者:わせ)

まずは生成AI(Gemini)に聞いてみました

以下、生成AIの見解!? です。
中学生になると、世界が広がるにつれて「人間の光」だけでなく「影」の部分にも好奇心が向くようになりますね。ましてや「実際に起きた事件」が題材となると、大人でも手に取るのにエネルギーがいるものです。

まずは、お母様の不安を解消するための客観的な目安を整理します。

「一般文芸(大人向けの小説)」の対象年齢は?

明確な定義はありませんが、出版業界ではおおよそ「高校生以上(15歳以上)」を想定して書かれていることが多いです。中2(14歳)はちょうどその境界線上にいます。

学校図書館にある本なら安心か?

学校図書館(特に中学校)は、生徒の知的好奇心に応えるため、あえて少し背伸びした一般文芸を置くこともあります。つまり「学校にある=内容がマイルド」ではなく、「学校にある=その年齢で向き合う価値がある(かもしれない)」という選書基準です。

「話題作」のリスクと価値

センセーショナルな話題作は、描写が過激な反面、現代社会が抱える問題を鋭く突いています。「読ませていいか」の基準は、描写の有無よりも、「読んだ後の精神的フォローを親ができるか」に置くのが現実的です。

専門家の意見は?“アートのプロ”に聞いてみました

静岡新聞、そしてSBSでも「アート」と言えば、この人!「しずおか文化談話室」でもおなじみ、プライベートでは一男一女の父でもある静岡新聞論説委員の橋爪充さんに聞いてみました。以下、橋爪さんのコメントです。
定型的な事を述べるなら、相談者のお子さんは出版や図書館の業界で言う「ヤングアダルト」(略称YA)に当たりますね。米国図書館協会が定義した概念で、児童と成人の中間期、具体的には「13歳から19歳まで」を指します。「自分ではもう子どもではないと思っているが、社会からはまだ大人ではないと思われている」世代と規定されています。日本でも図書館や書店などを注意深く見ると、「YA」と分類された棚があると思います。教育機関などがYAの推薦図書を発表したりしているので、ググってみるといいのではないでしょうか。

…というのが模範的な答えなのかもしれませんが、読書の衝動というのは世代で切り取るべきではないのも事実ですね。ティーンエイジャーはYAと名の付いた本しか読んではいけない、というのもそれはそれで息苦しい。

わたしは小学校低学年でギリシャ神話、高学年で中国文学にハマりました。当初は児童文学の範疇で翻訳されていたものを読んでいたのですが、そのうち飽き足らなくなり、確か当時は平凡社から出ていた「ギリシア悲劇全集」とか、「三国志演義」「水滸伝」に手を出すようになりました。ハードカバー、ケース入りの大人向けの本です。

そうすると、いろいろ暴力的、性的なことがたくさん書いてあるんですね。ギリシャ神話の神々や、水滸伝の豪傑たちはとんでもないことをしでかします。でもその時の自分は「ふーん」「何してるんだろうこの人たちは」といった受け止めで、全部を理解したわけではなかった。

いま振り返ってみると、当時の両親(特に父親)がえらかったなあと思います。つまり、同じ作品を読んで、何気なく感想を言い合う時間を作ってくれた。そうすると、子どもながらに「これは親には言っちゃいけないところっぽいな」などと、物語の意味を理解する力や判断が磨かれるのです。

長々と述べてしまいましたが、大人向けの本を読む際は、親もその作品を読んで、感想を述べ合うことを持ちかける、というのが一つの方法だと思います。「なんでこの本を読みたいと思ったの?」と投げかけてから読み始めるのもいいのではないでしょうか。逆に言えば「ヤングアダルト」にカテゴライズされている作品は、その必要がないとも言えます。

「これを読みなさい」と言われて読む本は、どこか味気ないのが正直なところ。「自分の興味に基づいて本を選ぶ」を大切にしてあげたいものです。
 

答えてくれたのは……橋爪充さん

1969年、カナダ生まれ。都内IT系出版社を経て2008年入社。ノイズ音楽から梅酒づくりまで、「文化」と名のつくものは全て取材対象。ヒップホップ、フットサル、曽宮一念さん、ヒカシュー、しずおか連詩の会、ラブライブ!サンシャイン!!、コーエン兄弟を好みます。クラフトビール愛好歴20年。ブラジリアン柔術青帯。橋爪さんの静岡新聞掲載記事はこちら>>>論説委員 橋爪充記事一覧(静岡新聞DIGITAL)


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