
「あと1点あれば支援金が倍...」被害認定めぐる制度と被災感情の”ずれ” 生活実態置き去りの現状に活路は 国内最大級の竜巻被害から5か月=静岡・牧之原市【わたしの防災】

2025年9月、静岡県牧之原市などを襲った国内最大級の竜巻。発災後に浮き彫りになった課題が被害認定のあり方です。
全壊、半壊などの判定で支援金の金額にも影響する制度が、被災者の生活実態や感情を置き去りにしている現状があります。

牧之原市細江地区の菅野尚和さんの自宅です。
<菅野尚和さん>
Q. これはいまどういう状況ですか?
「壁とかがやられたもので、ダメなものを取っ払った」
あの災害からすでに4か月が経っていました。2025年9月、県内で猛威を振るった台風15号。不安定な気候条件の中で発生したのが、秒速75メートルの風を伴う国内最大級の竜巻でした。
牧之原市から吉田町にかけて通過した竜巻で1人が死亡、90人近くが負傷し、住宅など1300棟以上に被害が出ました。
菅野さんの家の屋根も飛ばされ、ブルーシートをかけた状態で暮らしていました。「間違いなく全壊だろう」そう考えていた菅野さんでしたが、行政の判定は「大規模半壊」でした。
<菅野さん>
「完璧には住めない状態だもんで、全壊ではないかと家族では言っていたんだけど全壊にならないもんで。お金が下りる金額も少なくなるのでどうしようかと考えている最中です」
6段階で判定の被害認定調査 判定の仕方に課題
住宅の被害の程度を判定するのが被害認定調査です。住宅の屋根や壁など各パーツの被害を合計し、50点以上だと全壊、40点以上だと大規模半壊といった形で6段階で判定。
その結果によって、国からの支援金の額が変わります。

課題となっているのはその判定の仕方です。住宅の各パーツには10点から15点が振り分けられているため、菅野さんの自宅のように屋根に大きな被害が出ていたとしても、そのパーツでは最大15点しか加算されません。
その他のパーツの被害程度によっては全壊の判定が出ず、支援金に差が生まれるのです。判定を行った市の担当者も難しさを感じていました。
<牧之原市税務課 西原直樹主幹>
「国の制度の中で、なるべく被災者に有利な方法で判定を進めてきたつもりです。とはいえ、程度が低いものを高めにするといったことはできません。被災地に行くとひどい状況なのは分かっているので、もどかしいところはありました」
「あと1点あれば」被災者の実態と制度のずれ
被災者の受け止めと数字で判断する制度のずれ。牧之原市では80以上の被災者が再調査を依頼しました。
<再調査を受ける住民>
「20点以上で半壊だったので、家を調べてもらったら19点だった。あと1点じゃないですか。切ないですよね。あと1点あれば、もらえる補助が変わるので、倍くらい」
また、地震や水害の被害認定では家の外観の調査のみで判定を出すのに対し、竜巻のような風害は家の中の調査も行うため時間がかかります。
<西原主幹>
「被害認定調査をしないとり災証明が発行できないので、その後の支援が遅れてしまう。早急に被害認定するには『簡略化された被害認定の方法』が必要かなと感じています」
被災者の実態と乖離した制度の課題。生活の再建に向けて前を向こうとする人の背中を押すものになるよう見直す必要があります。
竜巻被害の特殊性も相まって制度の課題が鮮明となりました。
牧之原市で被災者の相談にあたった永野海弁護士は「被害認定調査の手順を細かくせずに、一定の範囲の被害があったらまとまった金額を出すという形でシンプルな制度にした方が職員の負担も国の負担も減る」と指摘しています。
いつ起きるかわからない災害に向けての制度改革も備えの一つです。


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