2026年3月15日
Face to Face

【ねこと白鳥】Barを手掛けてきたオーナーがかつて喫茶店だった場所で営む、洋酒とパフェが楽しめる「喫茶&Bar」/沼津・仲見世商店街

昨年末、忘年会に向かう途中のこと。沼津・仲見世商店街にある店の前で「ここ知ってる?面白いBarだよ」友人にそんなことを言われた。それが『ねこと白鳥』だ。今回『思い出喫茶通り』の企画第1弾として取材すると編集部から言われ、(むむ?ここはBarなのでは??)と私の頭にいくつかの「?」が並んだ。面白いBarだという友人の言葉を借りるなら、どう面白いのかを体験してみたいと取材に臨んだ。

いつかの喫茶店は魅力的な喫茶&BARに。ゆったりくつろぎ、もっと居たくなる

旧マルサン書店の十字路を50メートルほど南に進んだ右手に『ねこと白鳥』はあった。建物に看板はない。オープン時間の17時になると立て看板が出され、初めてその場所がわかるのだ。建物に入り地下へ続く階段の踊り場に置かれた石膏の置物が、昔でいう『純喫茶』の様相を呈している。壁には鏡とステンドガラスが施され、映し出された自分の姿に一瞬驚きを覚える。さらに階段を降り、いざ店内へ。

開店と同時に出現する立て看板

階段踊り場にある石膏像

扉を開け5つの敷石をテンポ良く進むと、ほどよく暗いフロア全景が目に飛び込んでくる。印象的なのは美しい光を放っている年代物のステンドガラスだ。「ここ『ねこと白鳥』は、もとは『白鳥』という喫茶店でした。数十年前に閉店していますが、このステンドガラスは当時から残っているものです。破損したものは取り外しましたが、使えるものはそのままです」。そう話してくれたのは、オーナーである池田光洋氏。ステンドガラスにとどまらず、店内に入ってすぐ左手にある巨大なシャンデリアと3体のヴィーナス、日本家屋を思い起こさせるしっかりとした梁と太い柱。『白鳥』時代の面影を残しつつも『ねこと白鳥』らしさも織り込まれているのが、妙にしっくりと馴染んでいる。

ステンドガラスの所々に白鳥が潜んでいる

じつは店内の改装は一人の本職大工さんに手伝ってもらった以外はスタッフの手作業なのだそうだ。ローマの浴場を連想させる3体のヴィーナスの場所は、以前は噴水だったそうな(噴水のある喫茶店とは、なんと贅沢!)。現在は円形のカウンターテーブルに姿を変えているが、表面の可愛らしいタイルはスタッフが思い思いに張ったという。皆さん浴場をイメージしてタイル張り作業をしたのかもしれないと、今さら思ってみたりする。

もとは噴水だったというタイル張りのカウンター

ひときわ目を引くのは、店内の特等席に鎮座するビリヤード台だ。照明が当てられ、鮮やかなグリーンが存在感を誇示するかのように眩しく輝いている。その台を囲むように、2人掛け、4人掛けのテーブル席が合わせて9つ、ゆったりとくつろげるソファーの席が2つ。約40坪ある広々としたフロアには贅沢すぎるほどのゆとりあるレイアウトだ。椅子もソファーもテーブルも、大きさやデザインが異なるのだが、そこがまた妙に心地良い。「ゆっくりとした時間を過ごせるように、多くの方にお越しいただけるようにと考えた結果です」(池田氏)。

店内の特等席に鎮座するビリヤード台

これまではBarを手掛けていたというオーナー。『ねこと白鳥』を始めるにあたり、洋酒とパフェを楽しんでもらえる店にしたかったという。「お酒が好きな方は甘いものが苦手とよく言いますが、私の経験上そんなことはありません。皆さん、けっこう召し上がるんです。特に洋酒との相性は抜群で、甘いものにブランデーやウイスキーをかけると何ともいえない奥深い味わいになります」。定番の『良心的なチョコバナナパフェ』『合理的なキャラメルモカバナナパフェ』の他に、季節替わりのパフェがお楽しみの一つになっている。お酒を飲む人も飲まない人も、老若男女あらゆる層に愛されている看板スイーツだ。

軽食は、たまごサラダと厚焼きたまごのボリューム満点『ダブルたまごサンド』や、外はサクサク、中はしっとりクリーミーな『キッシュ』など、こだわりの人気メニューが揃っている。ドリンクは、コーヒーの他にもノンアルコールカクテルが充実し、いずれをオーダーしても出される『お通し』が、なぜだか得した気分にしてくれる。

良心的なチョコバナナパフェとダブルたまごサンドを懐かしのクリームソーダで

クリーミーで美味しいスモークサーモンとクリームチーズのキッシュ

「以前『Malt Cats』というBarをやっていましたが、縁あって『白鳥』があった場所に店を構えることができました。それで店名が『ねこと白鳥』なんです。喫茶店のマスターにも憧れがありましたし、仲見世で商売をするというのは店を経営する私たちにとってステータスでもありました。今は寂しくなった仲見世ですが、微力ではあるものの、飲食を通じて少しでも活気づいてくれれば嬉しいです」(池田氏)。

バーコーナーには『Malt Cats』の看板が

友人が言っていた「面白い」は、私にとっては「魅力的な」だった。どれだけ長い時間をお店で過ごしても、居づらくなるどころかもっと居たくなる、そして無言の「お好きなだけどうぞ」を感じることができるのだ。次は、店の奥でキラキラと輝いているBarカウンターに座り、洋酒+スイーツと洒落込んでみようと思う。

(ライター/reiko)

<DATA>
■喫茶&BAR  ねこと白鳥
住所:沼津市大手町5-7-5つるかめ仲見世ビル B1

Face to Faceは富士・富士宮・沼津で発行している地域月刊新聞です。記事に登場するのは、あなたの街にいるかもしれない「ふつうの人」。地域に暮らす人々が共感できる、十人十色の物語を伝えています。WEBサイトをチェックしてください。

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