2026年3月16日

【天地耕作(村上誠さん、村上渡さん)のパフォーマンス『通り過ぎる人たち、と。』】石を積んだ作品に出入りしながら、浜松市北部と島田市抜里地区の過去の記憶を再現
(文・写真/論説委員・橋爪充)

浜名湖の北エリアを拠点に、木や土、石などの自然物を用いた構築物(耕作物)を制作する「天地耕作」(あまつちこうさく)の二人が、「大井川芸術創生譚」での新作「産土」の周辺でパフォーマンスを行った。

『通り過ぎる人たち、と。』と題した演目は、大正から昭和を生きた村上兄弟の父の歩みを起点としたドキュメンタリー演劇とも言うべきパートと、芸術祭の会場となった島田市抜里地区の歴史をたどるパートの二本立て。誠さんの語り、渡さんと息子さんの無言劇、三幡達史さんの横笛とジャンベの演奏を展開した。

石積みの古墳のような「産土」の入口には常緑樹のゲートがあり、出演者は作品に出入りしながらエピソードをつないでいく。「産土」に入ることで、一つの物語が終焉を迎え、新しい物語が始まる。生と死の両方をつかさどる装置としての機能を強く意識させた。
午後5時スタートの演目は約1時間。目視で約80人がパフォーマンスを見届けた。徐々に日差しが弱くなる中、かつて神社だった高木に囲まれたスペースに穏やかな熱気が発生した。午後6時を告げる、同報無線(だろう)の音楽が、生演奏のジャンベと重なり、フィナーレ。抜里の過去と現在がぴったり重なった瞬間だった。
静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。









