2026年3月24日

【訪れてみたい日本のアニメ聖地88】2026年版に『ぐらんぶる』初選出で、静岡県関連は地方2位の延べ8作品に。トップ都道府県の作品にも静岡の存在感!?
(文・写真/経営戦略室・天野大輔)
『ぐらんぶる』に登場する伊豆急行伊豆急行線川奈駅(2018年撮影)
2026年2月、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の2026年版が発表されました。一般社団法人アニメツーリズム協会が、アニメによる地域創生やインバウンド需要の創出などを目的に、2018年から毎年発表しています。ファン投票に基づき、作品の権利者や自治体などと調整を行った上で、対象となる作品や地域が選定されます。
通常は88の作品と施設・イベントが選定されますが、2026年版は同協会の設立10周年を記念し、選定枠が100作品に拡大されました。静岡県からは『エヴァンゲリオン』シリーズ(浜松市)、『ゆるキャン△』シリーズ(浜松市・川根本町)、『ラブライブ!サンシャイン!!』(沼津市)、『ぐらんぶる』(伊東市)の4作品5地域に加え、施設・イベントとして「ちびまる子ちゃんランド」(静岡市清水区)が選定されました。
伊東市の『ぐらんぶる』は初選出
『ぐらんぶる』に登場する伊東市の川奈港(2018年撮影)
『ぐらんぶる』は、2026年版で初選出となった全18作品の一つです。「good!アフタヌーン」(講談社)の人気漫画を原作とし、2018年に第1期、2025年に第2期が放送されました。
主人公らが通うのは、その名も「伊豆大学」。架空の大学ではありますが、名称の通り伊豆地域に位置している設定です。モデルについては原作とアニメ版で違いがあるものの、アニメ版では伊東市を中心に、背景の参考となった場所が各地に点在しています。伊東のまちがそのままモデルというより、背景モデルが各所にあるという感じですが、酒とスキューバダイビング、そして裸を愛する男たちの熱い物語を肌で感じようと、ファンたちがモデル地を訪れています。
静岡県の延べ8作品は、地方では岐阜県に次ぐ2位!
過去9年で選出された静岡県内の作品・地域・施設
上記は2018年版から2026年版までの計9回で選出された静岡県内の作品・地域と施設を並べたものです。『ラブライブ!サンシャイン!!』・沼津市が9年間連続で選出されていますが、他の作品・地域については入れ替わりがあり、これまでに『ハルチカ ~ハルタとチカは青春する~』『あまんちゅ!』『ガヴリールドロップアウト』『ラブライブ!サンシャイン!!』『エヴァンゲリオン』『ゆるキャン△』『化け猫あんずちゃん』『ぐらんぶる』の8作品9地域が選出されています。別途、施設・イベントのカテゴリでは、静岡市清水区の「ちびまる子ちゃんランド」が9年連続で選出されています。
過去9年間の都道府県別の累計作品数を見ると、この「8作品」という数字は、首都圏を除く地方において京都府と並び、岐阜県(9作品)に次ぐ全国トップクラスの数です。なお、あくまで偶然ではありますが、筆者の把握している限り、岐阜県の聖地として選出されている『ウマ娘 シンデレラグレイ』『刀使の巫女』『ルドルフとイッパイアッテナ』『小市民シリーズ』『信長の忍び』『氷菓』『やくならマグカップも』『ひぐらしのなく頃に』 『君の名は。』の9作品の内、4作品に背景モデルや物語の一部に静岡県内が登場しており、不思議な縁を感じます。
『君の名は。』民宿 奥大井(川根本町)
『刀使ノ巫女』道の駅 天城越え(伊豆市)
『氷菓』加茂荘花鳥園(掛川市)
『信長の忍び』今川館(静岡市)など
他の調査でも全国トップクラスの静岡県
①一般社団法人アニメツーリズム協会「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2018年~2026年版より都道府県別の延べ選定作品数を独自に算出
②じゃらん映像コンテンツ コンテンツツーリズム調査(リクルートじゃらんリサーチセンター調べ)日本のテレビアニメのコンテンツツーリズムの目的地の調査結果より上位5都県を抜粋
首都圏も含めると、東京都、神奈川県、埼玉県が人口規模に比例する形で上位に並び、とりわけ東京都の数は突出しています。近年は地方都市を舞台とした作品が増えたとは言え、「聖地」としての注目度を議論する以前に、やはり首都・東京は、依然として際立ったものがあります。
「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」は権利元の合意を選定条件とするため、作品の網羅性に課題があるとのアニメファンの声もありますが、アニメツーリズムのポテンシャルを推し量る一定の指標として捉えることは可能です。じゃらんリサーチセンターによる2024年3月の調査でも、静岡県はテレビアニメを目的とした旅行先として、東京都、神奈川県に次ぐ全国3位にランクインしており、静岡県が全国屈指のアニメ聖地として高いプレゼンスを有していることを裏付けています。なお、同調査でも岐阜県(8位)、京都府(6位)は高水準を維持しており、同様の傾向がみてとれます。
2026年の4作品は来年も選出されるのか!?
静岡県が作成した「静岡県アニメモデル地MAP」
「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の2027年版は、例年通りであれば2026年6月頃にファン投票を開始する見込みです。今回選出された4作品のうち『ラブライブ!サンシャイン!!』『エヴァンゲリオン』『ゆるキャン△』の3作品は、2026年に入ってからも自治体や地域企業とのコラボ企画が盛んに展開されていますし、3月10日から静岡県が配布している「静岡県アニメモデル地マップ」にも掲載されるなど、地域一体となった盛り上がりが継続しています。知名度が高く、ファンの母数が大きいこれらの作品は、次回の選考でも有力な候補となるでしょう。
初選出となった『ぐらんぶる』は、2026年7月からアニメ第3期の放送を控えており、さらなる盛り上がりが期待されます。2026年版は選出作品数が拡大されていたとはいえ、4作品ともに、今年選出されたのに来年は選外になるという要素は、見当たらないのではないでしょうか。
2026年は次回選出に期待のかかる2作品が放送
舞台モデルマップも配布中。熱海市が舞台の『綺麗にしてもらえますか。』
加えて、2026年は熱海市を舞台とした『綺麗にしてもらえますか。』の放送が始まります。地元では舞台モデル19カ所を収載したマップが配布されるなど、地域密着型のプロモーションが展開されており、放送終了後の4月以降も継続的なファン誘致が期待されます。さらに4月からは、静岡市が主舞台の『レプリカだって、恋をする。』の放送も控えています。KADOKAWA刊の同名小説が原作で、アニメ化発表以前から「静岡が舞台」であることを押し出したプロモーションを行ってきました。アニメ化に際しても、放送前から静岡市内で多彩な施策が展開されるなど、万全の体制が整っています。
2026年版の選出タイトルが非常に強力であることに加え、これら新作群が地域と連携してファンのエンゲージメントを高めている現状を鑑みれば、2027年版の「アニメ聖地88」において、静岡県から計6作品が選出される可能性も十分にあるのではないでしょうか。ちなみに、同じ4月から放送の『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件2』でも、公開されているプロモーション映像などから静岡市内と思しき場所が登場することが読み取れ、こちらの動向も気になります。
県を挙げてアニメツーリズムを推進する静岡県
静岡駅地下街に展示中の『レプリカだって、恋をする。』の大型パネル
外部からの認定で、ファンの作品愛や舞台モデルに足を運んでみたいという思いがすぐに強くなるものではないでしょう。ただ、インバウンド需要の創出や新規層の開拓、そして地域の理解の深化には、権威ある機関の認定が追い風となるのも事実です。
全国有数の選出数を誇るとはいえ、県内を舞台にした名作が数多あることを考えれば、逆に「わずか8タイトル」に留まっているとも捉えられます。静岡県は「しずおかオシノミクス」を掲げ、全県を挙げてアニメツーリズムを推進します。地域とファンが築き上げてきた絆が評価され、「聖地・静岡」の真価が、日本中、そして世界へと波及していく未来を願ってやみません。
静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。
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