2024年3月6日

【「四季のコンサート」の三浦謙司さんリサイタル】鍵盤からふわっと音を立ち上げ

着席後、真下を見据え、膝に手を置き8~10秒。三浦さんの演奏前のルーティンは、異世界への扉を開く時間に等しい。扉の向こうにはいつも、高揚感が待っている。シューマン「子供の情景」、ベートーベン「ピアノソナタ第23番」に続いたショパン「24の前奏曲」は、技巧と邪気、叙情と熱情が不規則に出現する、これまで聴いたことのない演奏だった。鍵盤からふわっと音を立ち上げ、白鍵黒鍵から離れた手で空中で美しい形を作っているような。(は)
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