2025年6月18日
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「在宅で安心できた環境で避難していくことが大切」高齢者向けにケアマネージャーたちが作る『在宅避難マニュアル』助けてもらう力=受援力の大切さも強調【わたしの防災】

災害時、避難所に行かずに自宅で過ごす「在宅避難」。静岡県裾野市のケアマネージャーなどが高齢者向けのマニュアルを作っています。支援を必要とする人たちに寄り添うなかで得た経験を落とし込みました。

<ケアマネージャー 長田梨沙さん>
「こんにちは、失礼します、お願いします。体調はお変わりないです?お通じも出てる?」

裾野市で暮らす渡邉春子さん74歳です。認知症を患っていてケアマネージャーが月に約1回、介護の計画が正しく行われているかを確認しています。一緒に暮らしている夫の武夫さん(78)は病気で目が見えづらく、災害時、春子さんを連れての避難に不安があります。

<渡邉武夫さん>
「昼間だったら公民館に行けるかもしれないが、夜の場合だったら、やっぱり暗いと自分は目が悪いから、家で避難が良いと思う」

武夫さんは自宅に水を貯めるなど災害への備えを約40年続けています。

<武夫さん>
「ここに何本か置いてあるから」
Q.これは何用?
「電気が遮断された時に水が出ないわけです、そのために使ったらこれを使えば(水が)出るから」

トイレには約7リットルの水を備え、寝室や玄関には懐中電灯を置いています。防災に力を入れている渡邉さんですがケアマネージャーの長田さんは改善できる点があるといいます。

<長田さん>
「トイレも流れるという認識からの今のストックの仕方だったので、もしトイレに入れなくなってしまった時が考えられるのであれば、トイレ以外の場所に排せつできるようなものを工夫して置いておかなければいけないと感じた」

<渡邉春子さん>
Q.体育館に避難するのと家とどっちが良い?
「家の方が良いね」

在宅避難を選択肢のひとつにしてもらうため静岡県裾野市のケアマネージャーが動いています。

「これをもうちょっと詰めればここに避難所とか入れるようであれば。要る?要らないよね、在宅避難だもんね」

作っているのは「在宅避難マニュアル」です。裾野市のケアマネージャーや社会福祉士、防災士が高齢者に寄り添う中で得た経験を持ち寄り、反映させています。避難生活が長引くことは高齢者にとってリスクにつながります。

<裾野市居宅介護支援センター 井出亜紀子さん>
「避難所での過酷な生活によって体調を壊してしまったりとか、水分を我慢して脱水になる。そうすると脱水から脳の血流が減って認知症の症状が出てきたりとかすることがあるので、在宅で安心できた環境で避難していくことが大切。そういうところでお手伝いできれば」

マニュアルでは在宅避難で高齢者の健康を保つために自宅に備えておくべき非常用トイレや入れ歯などの備蓄品をリストにしています。助けを求めることが恥ずかしいという高齢者の声を踏まえ受援力=助けてもらう力も強調しました。

近所の人などと協力し合える関係づくりが命を守ります。

<井出さん>
「何かあった時の不安は、知っていることによって必要以上に不安が生まれなくて安心につながると思うんです。なので一緒に考えてどういう風に過ごせばよいか、私たちが初動ですぐ来れなくても、どういう風に過ごしていけば良いか一緒に考えられれば」

裾野市で作られている「在宅避難マニュアル」は秋頃を目途にケアマネージャーが配布して高齢者などに災害への備えを伝える予定です。

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