
「安全で自然にやさしいエネルギーは人類全体の夢」未来のエネルギー源に「レーザー核融合発電」実用化に向けた実験成功 スタートアップ企業と浜松ホトニクスがタッグ=静岡

未来のエネルギー源として期待されている「レーザー核融合発電」の実用化に向けて大きな一歩です。スタートアップ企業と浜松ホトニクスがタッグを組み、大出力のレーザーを長時間、照射する実験に世界で初めて成功しました。
<浜松ホトニクス中央研究所企画部 川嶋利幸部長>
「これまでの常識を覆す革新的なレーザフュージョンの方式が実現する可能性があり、エネルギー分野におけるゲームチェンジにつながることが期待されます」
今回、発表されたのは、大出力のレーザーを使って、1時間連続で照射するという実験の成功です。浜松市に開発拠点を置く「EX-Fusion」と浜松ホトニクス。スタートアップ企業と浜松を代表する光技術メーカーが手を組みました。
<エクス・フュージョン 松尾一輝CEO>
「レーザー核融合を連続で運転できるんだということを見せたいということで、少なくとも(別の方式で記録した)22分は超えたかった」
核融合発電とは、原子核同士を融合させる際に出る膨大なエネルギーを熱に変えて発電するという技術です。
<スタッフ>
「このピカピカってところですね。ここに燃料が投入されると核融合反応が起きます」
この方式では、炉の中に打ち出した燃料の重水素に複数のレーザーを当て、急激に収縮させます。そこに別のレーザーで点火し、核融合反応を起こします。EX-Fusionでは、これまでに燃料となる直径数ミクロンのターゲットにレーザーを安定的に1秒あたり10回当てることに成功。今回の実験は、その技術をさらに一歩進める形で浜松ホトニクスの大出力レーザーを使って行いました。その仕組みとは。
<金國賢一記者>
「この長い装置の中をレーザー光が通ります。複数の装置を使ってレーザー光は増幅していきます」
浜松ホトニクスの技術を生かし、出力を大きくします。そして…
<金國記者>
「増幅されたレーザー光はこちらの真空容器の中で照射されます」
今回の実験では、「チャンバー」と呼ばれる真空容器の中に、1秒間に10回のペースで直径1ミリの模擬燃料に入れ、これに大出力レーザーを1時間にわたって当て続け、50%以上の確率で照射することに成功しました。
<川嶋部長>
「国内で自らエネルギーを生産できる技術を手に入れることは日本の産業力の強化につながる。世界にも安全で自然にやさしいエネルギーは人類全体の夢。是非実現に持っていきたい」
また、今回の実験から見えてきたものはたくさんあったといいます。
<松尾CEO>
「思ったよりも制御の精度が悪くなったなど、今後そこを改善していって、統合した環境下で精度を達成することを実現したい」
夢のエネルギー実現へ、スタートアップ企業と国内屈指のメーカーの挑戦は止まりません。
EX-Fusionの松尾CEOによりますと、動きの早いスタートアップ企業と多くの積み上げを持つメーカーがコラボすることは両者にとってメリットは大きいといいます。浜松ホトニクスの川嶋部長は3年後に100倍の出力での実証を目指したいとしています。
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