
リニア 静岡県の専門家会議 湧き水を抑える「薬液注入」を了承 新型車両も開発

リニア新幹線のトンネル工事が自然環境に与える影響を検討する県の会議で、JR東海が湧き水の量を抑えるための措置として示した「薬液注入」が委員から了承されました。
総工費が11兆円に膨れ上がる見通しとなったリニアですが、開業に向け完成度を高めた新型車両も開発されています。
リニア中央新幹線の工事に伴う自然環境の保全について検討する県の専門家会議は、11月5日、18回目を迎えました。
静岡工区ではトンネル掘削によって大井川上流の沢の水が減ることで、南アルプスに生息する生物への影響が懸念されています。JR東海は、トンネルと主要な断層が交差する場所に薬液を注入し、湧き水の量を抑える措置を示しました。
<生物多様性部会専門部会 岸本年郎部会長>
「薬液注入で使用する薬剤は安全性が高く、河川等に流出する可能性は非常に小さいであろうということを確認いたします」
5日の会議で委員は湧き水の低減対策として「薬液注入が最も適している」として了承しました。
<静岡県 平木省副知事>
「かなり先が見通せるような感じになって来たのではないか。問題点は整理されてきているのではないかと思っております」
工事着工に向けた議論が進む中、JR東海は10月29日、品川駅から名古屋駅までの総工費がこれまでの計画から約4兆円増え、11兆円に達する見通しを明らかにしました。
発表の翌日の10月30日、山梨県都留市のリニア実験センターでは5年ぶりの新型車両「M10」が報道陣に公開されました。
<植田麻瑚記者>
「今最速500キロを超えました。少し浮いた状態で走行していますが、大きな揺れはほとんど感じません。違和感もないです」
車内の上部にはプロジェクションマッピングを投影し、トンネルが多いリニアでも楽しむ工夫が施されています。また、座席は東海道新幹線のように背もたれが倒れません。
リニアは東京と名古屋を約40分で結ぶ予定で、リクライニング機能がなくても快適に過ごせるとしており、その分座席間のスペースが広く確保されています。
開業時期が未だ見通せない状況のリニア新幹線ですが、JR東海は、開業に向け着々と準備を進めています。
「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA
あなたにおすすめの記事

JR東海社長「大きな節目迎えた」リニア工事 静岡県の水資源議論完了で見解 薬液注入は「岐阜と静岡で性質が違う」

静岡市と静岡県の調査が重複 委員から「調整を求める」意見 リニア工事に伴うJR東海の環境対策を確認する国のモニタリング会議

リニア工事の影響を話し合う静岡県の専門部会 有害物質を含んだ「要対策土」について議論

「相互理解を深めることが大事」静岡県リニア専門部会 新たな県側トップ平木副知事が初参加 JR東海は沢の上流域『現地確認』開始

「工事費が11兆円となったことについては重く受け止めている」リニア中央新幹線の工事費が従来より4兆円増加 JR東海社長が言及...開業時期は見通し立たず

「水の問題をカバーできていない」リニア新幹線の工事めぐり…静岡県の専門部会での対話完了の撤回求める 市民団体が県に対して

リニア工事巡りJR東海が大井川上流11の沢で調査実施へ 工事に伴う生物などへの影響を議論する静岡県の専門部会

「水資源に関しては“実施”のフィールドに入っていく」リニア工事巡る静岡県の専門部会 10年以上続いた水に関する議論がすべて完了


リニア工事による水生生物への影響 2025年夏から調査実施へ 静岡県、JR東海と内容調整=静岡市の協議会
