2026年2月22日

【2026年4月開催】静岡に“猫”が集結!「猫さん」学芸員が蔵から見つけた不思議な版画の正体とは?駿府博物館で「東京猫美術展」開幕!
学芸員「猫さん」が見つけた、不思議な猫の物語
皆さんこんにちは。静岡市駿河区にある駿府博物館・副館長の杉山渉です。静岡市駿河区、登呂遺跡のほど近く。重厚な扉の向こうには、約1200点もの美術品が静かに眠る「所蔵品庫」があります。
ここには、職員たちの間で密かに「猫さん」と呼ばれている(?)、神出鬼没な女性学芸員がいます。彼女は、他のスタッフがスルーしてしまうような棚の隅っこから、「ひょいっ」と面白いものを見つけてくる名人なのです。
4月25日から始まる「東京猫美術展 in 静岡」の準備中、彼女が所蔵品庫の奥から抱えてきたのは、一枚の不思議な版画でした。展覧会で鑑賞できる、この作品をご紹介します。
これって……猫? 自由すぎる描線にドキリ
その作品の主は、静岡県島田市が生んだ異才の版画家、長尾タダユキさん(1930-2000)。タイトルは『猫に聴かれた』(1980年頃)。まずは、そっと作品を覗き込んでみてください。 「えっ、どこに猫が……?」 そう思ったあなた、正解です。でも、じーっと見つめていると、ほら。
・三日月のような顔に、つぶらな瞳
・ピンと張ったヒゲ
・ふっくらと丸まった背中のライン
・くるんと丸まった、しっぽ(それとも稲穂?)
幾何学的なラインだけで構成されているのに、不思議と「あ、猫だ……」と納得してしまう。まるで猫が液体になって丸まっている瞬間を、魔法で紙に閉じ込めたような姿です。
彫らない、写さない。「叩き込む」独自の技!
この作品、実は作り方がめちゃくちゃユニークなんです。 普通、木版画といえば「彫刻刀で彫る」ものですが、長尾さんは一味違います。彫らない
紐(ひも)や紙を版の上に置いて凹凸を作る「ひも版画」が彼の原点。写さない
紙を置いて裏からこするのではなく、表から「ポンポン!」と色を“叩き込む”「多色拓摺(たしょくたくずり)」という技法。この叩き込む技法によって、色は紙の繊維の奥までギュッと染み込み、内側から発光するような、しっとりとした質感が生まれます。
「猫さん」学芸員がこの作品を選んだ理由も、その独特の「触りたくなるような質感」に、猫特有の柔らかさを感じたからかもしれません。
猫の目線で、ちょっと一息。
長尾タダユキさんは、かつて日本現代美術展で2年連続優秀賞に輝いた、まさに版画界のレジェンド。そんなすごい先生が、こんなにも遊び心あふれる猫を描いていたなんて、なんだかワクワクしませんか?「伝統的な版画」という堅苦しいフレームを飛び越えて、自由に、軽やかに。 まさに気まぐれな猫のように。4月の展覧会では、この「長尾さんの猫」も皆さまをお迎えします。 難しい理屈は抜きにして、まずは会場で「あ、猫見つけた!」と、宝探し気分で楽しんでみてください。
<DATA>
■東京猫美術展 in 静岡
会場:静岡市駿河区登呂3-1-1 静岡新聞放送会館別館2階
開館時間:午前10時~午後5時
会期:2026年4月25日(土)~6月14日(土)
休館日:月曜日、5月7日(木)(祝日、振替休日の場合は開館し、翌日休館)
入館料:高校生以上800円
駐車場:駿府博物館北側駐車場(障がい者用を含む5台)
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