
【Crazy-Kの初EP『CK』】磐田市が拠点のヒップホップクルーGREEN KIDSの愛すべきラッパーによる「正直な」6曲
静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は1月28日に配信リリースされた袋井市のラッパーCrazy-Kの初EP『CK』を題材に。
(文/論説委員・橋爪充)

Crazy-Kは、磐田市が拠点のヒップホップクルーGREEN KIDSのラッパー。在日ペルー人のACHA、在日ブラジル人のBARCO、双子の兄弟Flight-AとSwag-Aのラッパー4人、在日ブラジル人のDJ PIGと活動している。
2013年に同市の東新町団地で結成したGREEN KIDSだが、Crazy-Kは唯一の日本人で住まいも磐田市ではなく袋井市。両市を分ける太田川に架かる橋を越えて東新町団地に通い、仲間たちとつるんでいたという。
『CK』は2025年にリリースされたソロ名義のシングル3曲を中心に据えた6曲入りEPで、そのうち5曲は浜松市出身のDJ KANJIがレコーディングエンジニアとして関わっている。暗く重々しいドリルサウンドに、昨年のGREEN KIDS の初アルバム『CONCRETE GREEN』でも際立っていたCrazy-Kの滑らかなフロウが映える。
「いつか作りたい俺らの帝国」と宣言してみせる『Start it up』で幕開け。G.O.D.を客演に迎えた『Big One Family』ではクラップとピアノが交錯するトラックに乗せて『待ってろ夢叶えるもうすぐ 静岡の日陰から物申す』と価値の転覆を企てる。
声の変調処理を施さない『Trippin' 』『Groovin'』は成り上がりの意志や性欲を隠さず表明する、ちょっと陰のあるパーティーソングといった趣。『Going back to hood』では「筋を通すと口で言って 中身は空で 意見はブレブレ」など、特定人物に対しての悪態も織り込んだ。
最終曲『いつか 』はEPの白眉だろう。GREEN KIDSの盟友 Flight-Aとともに、いいことも悪いこともあった20数年間の人生を振り返る。セルフドキュメンタリー的なリリックは赤裸々そのもので、Crazy-Kという人間の強さ、弱さが過不足なく伝わる。
全体的に「正直な」作品群だ。うそはつかない。いや、つけないのか。ラッパーとしての虚飾をまとっているのに、いつの間にか人間性がだだ漏れている。Crazy-Kというラッパーが愛される理由がよく理解できる。
静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。
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