
「まずは最悪の絶滅を逃れられるところから」浜名湖のアサリを一枚岩で守る まさかの漁獲量ゼロで漁協が苦渋の決断【現場から、】

不漁が続く浜名湖のアサリですが、漁協は今後1年間、一般の人が浜名湖でアサリをとる行為を禁止すると発表しました。資源回復の見通しが立たないなか、復活に向けて関係者は模索しています。

<浜菜坊 岡田謙店主>
Q. このアサリはどちらの?
「これは県外のアサリになりますね」
浜名湖産の新鮮な魚介を使った料理が人気の「浜菜坊(はまなぼう)」です。アサリの不漁によって店のメニューを変えました。
<浜菜坊 岡田店主>
「浜名湖の名前をうたえないので、酒蒸しは食べたいということで酒蒸しだけは扱っています」
今は愛知県や千葉県など全国各地からアサリを仕入れています。
<浜菜坊 岡田店主>
Q. 客からは浜名湖産のアサリはないかと聞かれますか?
「産地とか、なんでとれなくなってしまったのか皆さん聞きますよね」
かつての漁場はカキ殻ばかりに 漁獲量はついに「ゼロ」
アサリの漁をしている鈴木秀輔さんに、以前アサリがとれていた場所に案内してもらいました。

<浜名漁協採貝組合連合会 鈴木秀輔会長>
「本来であればアサリが入っていればこの中に貝が残る形なんですけど、これはカキの殻ですね。2025年は水揚げがゼロですので、もちろん収入もゼロ」

浜名湖のアサリの漁獲量は2009年には約6000トンありました。
2010年代になると急激に減少し、2025年はついに漁獲量はゼロになりました。アサリの漁師は最盛期には約700人いましたが、深刻な不漁から今では約250人となりました。
なぜ、ここまで深刻な不漁に陥ってしまったのでしょうか。
<鈴木会長>
「クロダイやエイとかの食害がひどいんじゃないか」
アサリを餌とするクロダイが、温暖化の影響で一年中浜名湖で生息するようになり、被害が増えたといいます。
「10年、30年かかっても」復活への模索と全面禁漁
クロダイからの食害を防ぎ、アサリの生息地を増やすため、浜名湖ではアマモを使って産卵場所を作る取り組みが進んでいます。
<アマモ再生事業部会 徳増隆二さん>
「(アマモの)茎と根の境くらいにアサリが卵を産みます。こうしたたくさん繁茂している場所で繁殖したアサリは歩留まり率が非常に高くて、それがアサリの生態系の維持につながっていた。アマモとアサリの関係は、自分の身を守ってくれる食害を防ぐ場所。こういった場所は潮の流れが緩くなるので長時間プランクトンが滞留し、エサも取りやすい」
水槽で成長したアマモは浜名湖に植えています。一方、地元の浜名漁協は2月、苦渋の決断をしました。
<浜名漁協 渥美敏組合長>
「資源の回復を図るため、従来一定の制約のもと認めていた、一般の方の自由な潮干狩りについて2026年3月から全面禁漁とします」
水揚げがゼロになったことを理由に、漁協は今後1年間、一般の人が浜名湖でアサリをとる行為をすべて禁止すると発表しました。
かつて1980年代には年間約30万人が訪れた浜名湖の潮干狩りですが、再開まではしばらくかかりそうです。
<鈴木会長>
「まずは最悪の絶滅を逃れられるところから。自然のものなので1年、2年、3年、5年とかで戻るとは到底思ってはいない。本当は戻ってほしいですけど。10年かかっても30年かかっても、長い目で見て将来的に復活してくれることを期待しています」
漁師を含む多くの人が地元の名物復活に向けて、浜名湖の変化と日々、向き合っています。
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