2026年2月19日

【静岡県立美術館の「2000年代の絵画~静岡ゆかりの作家による」展】静岡ゆかりの5作家の競演。夭逝の画家石田徹也さん(焼津市出身)の作品がまとめて見られる
(文・写真/論説委員・橋爪充)
門田光雅『camphor』(2024年)
浜松市出身の画家中村宏さんの個展(追悼展のようになってしまった…)に合わせた、静岡にゆかりがある美術家5人の作品をラインナップした展覧会である。絵画を主な表現手段とした1970~1980年代生まれの5人(石田徹也さん、大庭大介さん、小左誠一郎さん、門田光雅さん、持塚三樹さん)の約20点は、作家とモチーフの距離感、色彩へのアプローチ、画面の奥行きのあるなし、筆の跡のあるなしなど、それぞれが全く違っている。「絵画」というアートフォームに対する各人の考え方は、百人百様ならぬ“五人五様”だ。この展覧会には、そんな当たり前のことを「スッ」と受け止められる、風通しの良さがある。
持塚三樹『Dusk approaches』(2012年)
大庭大介『Daisuke OHBA』(2023年)
特筆すべきは2005年に亡くなった石田徹也さん(焼津市出身)の作品をまとまった形で見られることだ。同館は石田さんの作品を21点所蔵している。今回展では前期5点、後期10点を出品する。前期後期を通じて展示する作品もあるが、今回は総計12点が見られる。これだけの石田作品をそろえたのは2021年4~5月の「STORIES」展以来ではないか。
石田徹也『飛べなくなった人』(1996年)
石田さんの作品に出てくる人物は、まなざしがどんよりしている。ガソリンスタンドの給油のように客の口にファストフードを流し込む店員たち。屋内に設けられた庭のような場所に横たわる全裸の男。戦闘機と体が一体化してしまった男。どの作品にも、やるせない現実を受け入れるしかない諦念がにじむ。
その諦念が、見ているこちらの心をじわりじわりと浸食する。真っ白い紙に落とした薄墨のシミのような小さな感情がだんだん領域を広げていくのが自覚できる。「これは自分だ」との思いに至るまでにそう時間はかからない。国や人種は違っても、作品の前に立つ人は同じ気持ちに支配されるだろう。世界中で受け入れられている石田作品の「暗い共感」について、あれこれ考えを巡らせた。
小左誠一郎『百合』(2023年)
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■静岡県立美術館「2000年代の絵画~静岡ゆかりの作家による」
住所:静岡市駿河区谷田53-2
開館:午前10時~午後5時半(月曜休館)
観覧料金(当日):300円。70歳以上と大学生以下無料
※企画展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」の観覧券で鑑賞可能
会期:4月19日(日)まで
静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。










