2026年3月2日
しずおかBallpark通信

​<高校野球>聖隷クリストファー 注目左腕高部陸 体重5キロ増でパワーアップ 投手陣の底上げ、打撃強化も順調

創部初の夏の甲子園(全国高校野球選手権)出場を成し遂げるなど昨年の春、夏、秋の静岡県大会3冠を達成した聖隷クリストファー。世代屈指の左腕、高部陸投手を擁し、今夏の静岡大会も優勝候補に挙がる同校が3月20日開幕の春季県大会予選に向けて順調にチーム、個人の強化を進めている。

7割の出力で現状確認

暖かい一日となった2月23日、今年初の紅白戦を行った。先発した高部投手は4回、約50球程度を「7割くらいの出力」で3安打1失点、最速は138キロだった。「手応えがあった球は10球いかないくらい。いいボールの感覚は忘れないように、意識してやっていきたいです」と現状を確認した。

冬の鍛錬でパワーアップした高部投手

冷静に課題と向き合う

ことしは静岡県内の各校が「打倒聖隷、打倒高部」を目標に掲げてくるだけに、気合も入るところだが、本人は冷静に課題と向き合っている。
「今はまだ7割以上で投げてもあまり意味がないと思っていて、フォームを固める段階だと思っています。3、4月くらいまではもう少し体重を上げて、筋肉を付けていきたいです」と結果を急がない。

秋のコールド敗戦

昨秋、高部投手の調子はいまひとつだった。
「あまりフォームが良くなくて。うまく修正することができないまま、その時に応じたフォームで投げていました。ストレートの回転も悪かったと思います」
県大会で優勝したものの、東海大会は三重との準決勝で打ち込まれ、7回コールド負け。選抜出場の夢を絶たれた。
「疲れで、握力がなくなってしまったのが原因かなと。最後に自分の弱いところが出ました」
当時は自覚がなかったが、今になって思い返すのは夏の疲労だ。
「甲子園での疲労のたまり方が(いつもと)違って、帰ってきた後もしんどかったです」

スムーズな体重移動

反省を踏まえ、冬は体力づくりとフォーム固めに取り組んだ。
「体の連動性がうまく使えるフォームを目指してやってきました。足を上げてから前足が付くまでの感じがスムーズに、体重移動できるようになってきました。(去年の)夏の(静岡大会)決勝がいいイメージとして残っているんですが、体も変わっていくので(去年と)同じじゃ駄目だと思うんで、そこを意識してやってます」

力みなく、伸びる球

体重は約5キロ増えて174センチ、74~75キロに。体を強くした分、力感なくしっかりスピードが出るようになり、後半のスタミナにもつながると見ている。
バッテリーを組む筧優亨捕手も「以前より伸び感が強くなって、力みがなくなっています。刺さりやすいボールになってきていると感じます。下半身も大きくなっていて、自分としてもワクワクというか期待があります」とうなずく。

高部投手の変化に手応えを感じている筧捕手

組み立てにも変化

秋までの組み立ては直球とカットボールが主体だったが、冬の間に三振を取れる落ち球の習得に励んできた。「以前はカットボール以外自信がなくて。40%くらいはカットボールを投げていたと思うんですが、今はカットボールに頼らないピッチングになっていると思います」と高部投手。

152キロに照準

足元を見据え、堅実な目標を掲げて一冬を過ごしてきた一方で、自身に注目、期待が集まることもわかっている。昨年までの最速147キロに対し、「150キロ出したいですね。欲を言うと152キロ。今までの静岡の最速を夏に出せたら一番いいですね。フォームは崩さずに、力を入れた球で」と目を輝かせる。

野手の奮起促す指揮官

チームとしては、いかに高部投手を攻守両面で援護できるかがポイントになる。
上村敏正監督は「冬はバッティング練習ばかりしてきましたよ」と野手陣の奮起を促してきた。

「打って勝ちたい」

昨夏の甲子園に1番、二塁で出場した大島歩真主将は「(野手の責任を)みんなが感じていると思います。(秋の高部投手を)もう少し、楽にすることができたんじゃないかって」と申し訳なさそうに振り返る。「秋は1イニングごとの得点が少なくて、流れに乗れなかった。チーム全体で全然強く振れなかったので、強く振ることを課題にしてきました。いろんな種類のティーバッティングをやって、1日400~500振って、ウエートをやって。体重もそれぞれ3、4キロは増えてます。夏は打って勝ちたいです」

「打って勝つ」と援護と誓う大島選手

2番手候補に名乗り

高部投手以外に夏の先発を任される投手が出てくるかどうかも鍵になる。
2番手候補として台頭してきたのが、岸本悠佑投手と小金沢玲雄投手らタイプの異なる右腕2人。筧捕手は「岸本は秋に比べるととても良くなってきていてこれからが楽しみ。小金沢もブルペンではかなりいいです。高部が引っ張って教えてくれて、球のキレが本当に良くなってきています」と好感触を得ている。筧捕手自身も投手陣を助けるべく、二塁送球の速さ、精度を冬の間に磨き「以前は(二塁送球タイムが)1.95ぐらいだったのが1.90までいきました」と手応えを口にする。

2番手候補に名乗りを上げた岸本投手(左)と小金沢投手

選抜出場をあと一歩で逃した悔しさを、それぞれが冬の頑張りにつなげてきた。
「もう一度全員で、目標を見つめ直すことができた」と筧捕手。一丸となって、夏の連覇に挑む。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
【後日の取材にて】
高校野球の対外試合解禁となった3月7日、聖隷クリストファーは同じく昨夏甲子園出場の豊橋中央(愛知)と練習試合を行いました。先発した高部陸投手は5回を投げて2安打1失点8奪三振無四球、最速は139キロ。77球と少々球数はかさみましたが、「しっかり軸足に体重を乗せること」を心がけ、変化球の感覚を確かめながらの投球でした。12、1月はブルペンに入らずキャッチボール程度の練習の中で、カウントを取れて緩急をつくれる球としてカーブを習得。この日はそのカーブが最も手応えがあり、「うまく使っていきたい」と話していました。また、六回から救援した岸本悠佑投手も4回を4安打1失点にまとめました。

野手は大島歩真選手をはじめ秋の主力5人がそろってコンディション不良で欠場。その中で昨秋は控え捕手だった浅川帆選手が2本の長打を放つなどチームは8安打で8得点と効率良く加点しました。上村敏正監督も「代わりに出たサブの選手が振れてきている。(主力組とも)遜色ない」と納得の表情でした。

ところで、春の大会からDH(指名打者)制が導入されるため、練習試合でも採用が始まりました。指導者はおおむね「賛成」の様子で「守備が苦手で打撃が得意な選手を生かせる」といった声が多い印象です。高部投手のように投手が打撃も得意な場合はいわゆる「大谷ルール」が認められ、降板後もDHで残ることが可能ですが、再登板はできません。そのため、再登板を想定する場合はこれまで通り、他の守備位置に就くという選択肢になるため、高部投手も右翼や一塁の守備を練習しているそうです。

静岡県に関係する野球の話題を中心に、プロから社会人、大学、高校、中学まで幅広く取り上げます。新聞記事とは異なる切り口で、こぼれ話も織り交ぜながらお届けします。時々バレーボールの話題も提供します。最新情報は X(旧Twitter)「しずおか×スポーツ」で。

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