2026年4月3日

こどもの好奇心を広げる「ラーケーション」 平日の校外体験で静岡の学校・家庭・職場はどう変わる?【PR】
出席者:静岡県教育委員会 高校教育課 戸塚正人さん(右)、株式会社静岡新聞社 人事部 石井祐子さん(左)、働く母 祖父江里衣さん(中央)
注目の「ラーケーション」、静岡ではどう進んでいる?
戸塚:静岡県では磐田市と東伊豆町で、すでに「ラーケーション」制度を始めています。他の市町にも制度について説明したり、県立中等部で試行した例を紹介したりしているところです。今までは小中学校が中心でしたが、今後は高校での導入も検討していきます。ラーケーションのポイントは「こどもが保護者と一緒に校外で体験や探究をする」「こどもが自ら企画して進める」ことです。保護者も仕事を休んでこどもの学びに関わり、学校の学習に生かしたり報告書を作成したりすることで学校外の活動を学校が学びとして認めます。とはいえ自分で企画することは小学生、特に低学年には難しいので、家族で一緒に考えていいと思います。もともと家族で「万博に行きたいね」と話題にしていたところにラーケーションを知り、制度を使って平日に万博に行った例もあります。
何かすごい企画をしないといけない?家族旅行やレジャーとの違いは
戸塚:よく、どこか遠くに旅行に行かなくてはいけないように思われますが、そうではありません。家でゆっくり将来のことを話す、料理に興味があるお子さんと家族で一緒にご飯を作る、といった内容でも大丈夫です。家族で一緒に過ごす時間を持ちながら、お子さんの考えていることや興味・関心に触れられるきっかけになる、そんな時間になると考えればハードルが下がるかもしれません。祖父江:確かにこどもと改めてゆっくり時間を作るのはなかなか難しいんですよね。一週間ずっとバタバタしていて、仕事と家事を回すのに必死で。だからこういう機会に親と子がリラックスした状態でコミュニケーションが取れるのはいいですね。
戸塚:他県では夜に星を一緒に見る、家で一緒に粘土で工作をする、という例もありました。そういう体験の先に、もう少し大きくなってから陶芸やガラス細工のようなものを体験してみたいといった興味につながるかもしれません。県内には駿府匠宿のような体験施設もあるので利用していただきたいですね。
石井:うちのこどもはかわいいアイドルが好きなんですが、それはさすがに何かにつなげるのは難しいかも…?
祖父江:ラーケーションで一緒にライブに行くのは…?
石井:今も週末のライブに一緒に行くときは、どんな交通機関を使うか調べてもらっているんですが、こういうのは探究学習になるんでしょうか。
戸塚:「キャリア教育」を総合的な学習の時間に生かすなど教育活動全体で行っているので、自分の将来を考える意味では問題ないですね。実際、宝塚や演劇、コンサートに行った後、「舞台の裏方の仕事に関わってみたい」といった感想もありました。
石井:そういう意味では親が「ライブなんて無理でしょ!」みたいに言わない方がいいですね。
戸塚:実際に訪れないと見えないもの、感じることができないこともたくさんあるので、行ってみたら「実際の仕事や活動は思った以上に大変そうだな」と感じることでもいいと思います。終わった後に「多くの人が関わって運営されていたね」「あの演出すごかったよね」みたいに感想を話し合う時間が持てれば、それがまさしく探究です。
ラーケーション、わが家ならどこからどうアプローチする?

祖父江:もしラーケーションを取るなら、何が好き?何したい?と聞きたいですね。もしかしたら私たちが知らない話題が出てくるかもしれない。でもバランスが難しそうで…。以前こどもが元素記号に興味を持ったときに私も意識して話したりしていたんですけど、あまりこっちからグイグイ行くと、せっかくの主体性を生かしてあげられない気がして。
戸塚:「学校で今どんな勉強してる?」「今は何を調べてる?」というところから「ここにこんな施設があるよ」と提案してもいいですよね。小学一年生だと「生き物を調べる」というテーマで動物園や水族館からスタートするとか。
祖父江:なるほど。興味はこどもによって違うし、理科や社会にもいろんな題材があって、好きなものをキラッと見つけた瞬間に、グッと前のめりになれるものに時間を取れるといいのかな。
石井:中学生の親目線でいうと、ラーケーションを使えるならこどもが小学校時代に使いたかったですね。私は美術館が好きで週末にこどもたちを連れて行くことが多かったんですが、週末だとすごく混んでいて、こどもからは「混んでいるところに連れていかれた」みたいな不満しか出ないんです。平日のすいている時間帯に、こどもが自主的に何を見たいかを計画できるなら、いい思い出や記憶になりそうな気がします。
ラーケーションは大人にとって働き方改革の側面も。企業ができる応援は

石井:土日休みじゃないことで家族の時間が持ちにくい人は、ラーケーションに救われると思います。当社はカレンダー通りの働き方をする部署と、シフト制の部署があって、週末に仕事が集約しがちな部署は家族の時間が持ちにくいんですね。特に小学校以上になると短縮勤務などの支援制度が減ってくるので、なかなか子育てに参画しにくい後ろめたさがあると、男女ともに聞きます。そういうときにラーケーションの「こどもの探究の一環で休みます」は、休暇の支えや後押しになるかもしれないし、人事部としても認めやすい。そのためには「ああ、ラーケーションね」みたいに社会的に認知が広まればいいですよね。
戸塚:ラーケーション制度を利用した生徒からも、学校を欠席することに最初は抵抗感があったとの声がありましたが、先生が「校外での学びだからいいんだよ」と説明してくれたことで安心できたと聞いています。そういうことも含めて、各方面への周知が課題だと思っています。
石井:これは理想論ですが、いろんな生き方、ライフステージがある中で、こどもの探究のために休みたい人と、自分のために休みたい人は同列に扱えるようになればいいし、そういう職場環境を作っていくべきだと感じています。育休取得が周知され、男性の育休も取りやすい時代になってきて、働き方改革も進んでいるように見えるけれど、実は休みやすい環境が整っているかというと、どこも人手不足で最小人数で働く現場がほとんど。「休みます」と言いづらい雰囲気もあると思います。なので、子育て中の家庭ばかりが優遇されるのではなく、どんな立場の人もそれぞれの理由で休めるのが理想です。
ラーケーションの経験や発見を、普段の学びにどう生かす?
戸塚:総合的な学習の時間や総合的な探究の発表の時に資料として使うというのが、もっとも有効でしょうね。「修学旅行で京都に行き、本当はここが見たかったけど、みんなで行く場所が決まっていたから行けなかった。だから家族で相談して、今度はガイドさんをつけて歴史を細かく教えてもらった」とか、関ヶ原や川中島といった合戦場に行って、実際に見てきたことを使って授業中に発言したという人もいました。発表の場だけではなくて、各教科の学習の中につながっていくことがたくさんあります。
祖父江:私は小学校のサポートルームで支援員として働いているんですが、中には教室に向かえなかったり授業を受けられなかったりというこどもがいます。でも、その子たちも興味がある授業は受けたいので本人が好きなことを探究・追究できるのは、そういう子たちにとっての救いになるのかなと思います。
ラーケーションが静岡に広がると将来どうなる?

戸塚:昔は安定した仕事に就く、いい大学に行けばいい仕事に就けるという流れが風潮としてありましたが、今は自分がしたいこと、興味をどれだけつきつめて、将来に生かせるかという方向に変わってきています。予測不能で複雑な世の中をどうやって生き抜いていくか、それがこども達につけたい力なのかもしれません。家族で一緒に考えて楽しむ、そのための方法の一つがラーケーションととらえていただきたいですね。
石井:取りたいといってすぐ取れるものなんでしょうか。
戸塚:実はまだ整備されていない部分もあります。市町によっては日数や取得方法が違うなど学校や地域によっても違いがあります。興味のある方は、ぜひお住まいの市町に確認してみてください。まずは「始まったら何をしたい?」とお子さんとのコミュニケーションのきっかけにしてもらえるとうれしいですね。

祖父江:これまでも、こどもが好きなキャラクターを私も一緒に覚えて話したりすることがあったんですが、そういう時ってこどもの世界に招いてもらえている感じがするんです。こどもにとっては家族が自分の興味ある世界に入ってきてくることで安心感を覚えたり、うれしい気持ちになるんじゃないでしょうか。普段は忙しくてうまく距離が取れなくても、そういう話をすることで、親子の関係がやわらかくまとまっていけばいいなと思います。
■ラーケーションについて知ろう!(静岡県教育委員会YouTube)
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