
「森林法適用の根拠なかった」「市町が権限持つ」熱海土石流の損賠訴訟で県職員が証言 行政同士の責任の押し付け合い続く 約11億円の代執行費用めぐる判決の影響はどこまで=静岡

遺族らが県や市を提訴 焦点は「森林法」適用の是非
熱海土石流災害をめぐる民事裁判で2026年3月24日、県の職員らが証言台に立ちました。
法による規制を適用しなかった理由について「明確な根拠を示すものがなかった」などと証言しました。
<竹川知佳記者>
「午前9時40分です。証人尋問のため、原告団が地裁沼津支部に入ります」
28人が死亡した熱海市伊豆山の土石流災害をめぐっては、遺族らが崩落した"違法盛り土"の前と現在の土地所有者や県、熱海市などに対して損害賠償を求めています。
原告側は、県が業者による1ヘクタールを超えた違法な盛り土の開発行為を知った上で、森林法を適用せず開発を止めなかったなどと訴えています。
県職員が証言「1ヘクタール超の明確な根拠なかった」
3月24日の証人尋問には、被告側の県から当時、森林法と県の規制条例(土採取等規制条例)を担当していた2人が出廷しました。
森林法を担当していた職員は、「面積が1ヘクタールを超えているという明確な根拠を示すものがなかったので対応できなかった」と繰り返し証言しました。
もう一人の職員も、「違法に1ヘクタールを超えているものについてはそのまま市町が規制の権限を持つ」などと主張し、いずれも県の責任を否定しました。
これまでに証言した熱海市の職員らは「県が上級官庁という中で対応していた」として県の責任を追及しており、被告である行政機関同士で批判の応酬となっています。
また、24日の証人尋問には現在の土地所有者のもとで働いていた男性も出廷し、違法な土砂を撤去しなかった理由として、熱海市から「安定しているので触らないでほしい」と言われていたと証言しました。
証人尋問は25日も行われ、現在の土地所有者などが出廷する予定です。
行政代執行の費用約11億円 裁判所は県の納付命令を取り消し
土石流の発生から2026年で5年。
かつて盛り土があった場所は、県による行政代執行で崩れ残った土砂が撤去され、排水処理などが施されました。
この費用約11億円をめぐって、県は前の土地所有者の会社に納付命令を出していましたが、静岡地裁は残存した土砂が前の所有者の盛り土か分からないことを踏まえ、県の納付命令を取り消し、費用を県負担とする判決を言い渡しました。
<盛土の前の所有者の男性>※2022年9月
「当社の泥という証明をしてください。その証明は一切ない。もちろん土に名前が書いてあるわけではない」
前の所有者の言い分が認められた形ですが、県のトップは。
<鈴木康友静岡県知事>
「県の主張が裁判によって認められなかったということは大変残念。今、裁判の判決書の内容を精査して、次の対応を、これから検討しているところ」
また、遺族の刑事告訴を受けて前の所有者を捜査している警察は「民事裁判と刑事事件は別々という認識でやるべきことをやる」としています。
損害賠償訴訟や捜査への影響は
気になるのは、行政代執行の費用をめぐる裁判の判決がいま行われてる損害賠償訴訟と刑事事件にどう影響するかです。
盛り土規制に詳しい静岡産業大学の小泉祐一郎教授は「崩れ残った土砂と実際に崩れた土砂の問題は別の話。直接的な影響はないが、時間が経つ中で事実関係の立証の難しさはある」としています。
損害賠償訴訟の原告側の池田直樹弁護士は、「(行政代執行をめぐる判決の)影響はないとは言えない。慎重になるとは思う。証拠の構造が違うので、こちらはこちらとして別で認定してくれることを期待している」とコメントしています。
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