2026年4月16日
しずおか文化談話室

【静岡音楽友の会「四季のコンサート」の赤坂智子さん、佐藤晴馬さんデュオリサイタル】ビオラとチェロ、中低音の弦楽器アンサンブル。まるでプリズム、四方八方に放たれた光

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は4月14日に静岡市葵区の静岡音楽館AOIで開かれたビオラ奏者赤坂智子さんとチェロ奏者佐藤晴馬さんのデュオリサイタルを題材に。1983年から活動を続ける静岡音楽友の会の「四季のコンサート」の2026年度第1回公演。
(写真・文=論説委員・橋爪充)

共に欧州での活動歴やコンクール受賞歴がある赤坂さん、佐藤さん。ビオラとチェロという中低音域をつかさどる弦楽器のアンサンブルは、ふくよかな響きが全編を支配しつつ、実験的かつ刺激的な和音やリズムも多く聴かれた。

上下を白でまとめた赤坂さん、黒をまとった佐藤さんというツートーンモノクロのビジュアル。クラシックコンサートではあまり見ない視覚的な演出だ。ベートーベン作曲『ヴィオラとチェロのための二重奏曲』で幕を開け、それぞれのソロも交えた全8曲のコンサートだった。

白眉は第2部のトーマス・デメンガ作曲『Duo? O,Du』。スイス出身のチェリストが1985年に作ったチェロ二重奏曲だが、クラシックというより極めて現代音楽的なニュアンスが感じられた。

半音を行ったり来たりするチェロの不穏なフレーズで始まり、「心地よい不協和音」が次々飛び出す。7拍子がいつの間にか6拍子に変化し、木管楽器のような高い音や、エレクトリックギターをストロークしたようなぐしゃっとしたノイズも聞こえてくる。弦楽器二つで、ここまで「音の塊」を感じることは、早々あるものではない。ノイジーな音塊が、まるでプリズムのように四方八方、光を放つ様子を感じ取った。

主催の「静岡音楽友の会」は1983年に活動をはじめた市民グループ。「子連れで行ける演奏会」を目指して市内の母親たちが手弁当ではじめた。託児サービス付きの演奏会は非常に珍しかった。翌年には姉妹団体のような存在として「浜松音楽友の会」も活動開始。当初は共同で出演者の招聘も行っていたという。

両団体とも活動を始めて40年超。非営利を貫き、質の高いライブ演奏を手頃な入場料で届ける姿勢は揺るぎない。「四季のコンサート」がなかったら、音楽に触れる機会がなかった県民はかなりの数に上ると思う。静岡県の音楽文化の礎として、高く評価するべきだ。

<DATA>
▼静岡音楽友の会「四季のコンサート」
プログラム(第2回以降):
6月5日(金)津田裕也ピアノリサイタル
9月30日(水)須川展也サクソフォンリサイタル(ピアノ小柳美奈子)
11月20日(金)~静岡県ゆかりの音楽家シリーズ~室内楽の夕べ
2027年1月27日(水)郷古廉(バイオリン)、ホセ・ガヤルド(ピアノ)デュオリサイタル
時間:どのプログラムも午後6時10分開場、午後6時40分開演
料金:年会費6000円 ※全公演入場可能(入会金2000円)
問い合わせ:静岡音楽友の会〈電054(253)7789〉

▼浜松音楽友の会「四季のコンサート」
プログラム:
4月24日(金)児玉隼人トランペットリサイタル
7月9日(木)上野通明&北村朋幹デュオリサイタル
10月12日(月・祝)加藤宏隆バスリサイタル
12月10日(木)小林愛実ピアノリサイタル
時間:どのプログラムも午後5時45分開場、午後6時半開演
料金:年会費7000円
問い合わせ:浜松音楽友の会公式サイト(https://hamatomo.main.jp/index.html)

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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