2025年9月9日

<社会人野球・都市対抗大会> ヤマハ、準決勝敗退も新戦力続々台頭、大本主将(掛川西高出)「もっと強いチームに」

2016年日本選手権優勝、23年都市対抗準優勝などの功績を残したベテラン勢が昨季限りで引退。主力が大量に抜けた投手陣に、ルーキー梅田健太郎投手(22)や4年目の金原祥太投手(25)らが台頭した。野手も森川凌(22)、土山翔生(22)の両新人内野手が全試合でスタメン出場するなど、準優勝した2年前とは全く違うチームに姿を変えても、頂点を狙える力があることを示した。

大本主将「進化を止めない」
大本拓海主将(掛川西高出)は悔しさを押し殺しながら、大会を総括した。「新しいチームの形はできてきている。これで足りなかったのだから、もっと強いチームをつくろうというだけ。進化を止めない。これで勝とうとしないように、来年もメンバーがガラッと変わっているくらいでもいい。さらに強いチームをつくっていく」

梅田が涙「実力が足りない」
「悔しいですね」。準決勝の七回から3番手で救援し、八回に逆転の3ランを浴びたルーキーの梅田投手は目に涙を浮かべ、言葉を絞り出した。「1点もやれない中で使ってもらえたというのは信頼されたということだと思うんですけど、そこでしっかり抑えてこそだと思うので。実力が足りないなと」
八回、同点とされてなおも2死二、三塁の場面で、甘く入ったフォークをスタンドに運ばれた。「大学と違ってリーグ戦ではないので、1球で次がない。1球が大事だと身に染みて感じました」

8回1失点と好投した2回戦に続く出番で、調子は悪くなかった。
「2回戦のデータなどを(相手に)見られていて、(フォークを)狙われたというのはあると思う。そこでフォークじゃない選択ができなかったというのが、これからの課題。今回の一番調子のいいボールを投げきれなかった」

初の大舞台で、エース佐藤廉投手に次ぐヤマハ2番手としてアピールしたが、「しっかり投げられたのは1回(試合)だけ。廉さんも、トヨタ(自動車)の嘉陽(宗一郎)さんも、何回投げても抑えている。そういう風になっていかないと、この先いい景色は見られないと思う」と反省点だけを胸に刻んでいた。

課題の継投決まらず
昨季からの課題であり、今大会も鍵になった投手リレー。勝利には結びつかなかったものの、「あまり引っ張らずにいいピッチャーをつぎ込んでいこうと九谷(青孝投手)コーチとも話していた。そういう意味では予定通りだった」と申原直樹監督は言う。4年目右腕、金原に手応え
準決勝の2番手で登板した金原投手は今季スタート時から九谷コーチが期待を寄せていた戦力の一人だ。4年目で都市対抗初登板。四回から3回を投げて2安打2三振無失点。最速もこれまでの146キロから149キロに更新した。「任された以上は何とかゼロで帰って来たい、その気持ちで投げていた」。点差が開いた場面ではなく、0―0の均衡した場面で送り出されたことを意気に感じ、期待に応えた。
もちろんここで満足するつもりはない。
エースに次ぐ2番手に浮上した梅田投手について「スーパー新人。今日は打たれてしまったけれど、1年目でこの舞台で、きっちりストライク先行でできる度胸がすごい。年下とか関係なく見習っていきたい」と、後輩から受ける刺激も力に替えている。
投手リーダーとして、責任感を練習姿勢で示してきた金原投手。今大会の経験を踏み台にして、さらに高いステージを見据えている。

森川に主軸の自覚と風格
全試合スタメン出場し、2戦連続の本塁打を放った森川選手を筆頭に、野手もポテンシャルを存分に示した。.jpg)
準決勝の結果を受け「1打席目の(2死三塁の先制機に打てなかった)悔しさがある。日本選手権では絶対に優勝したい」と森川選手。大会を通じて「1発勝負でも1球で捉えられたというのは良かった。継続してやっていきたい」と一定の手応えもあった。「日本一が取れるチームだと思うけれど、負けてしまうのは原因がある。そこは全員で突き詰めて、次の目標に向かってやっていきたい」。言葉にも主軸の自覚と風格が漂ってきた。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)
<取材後記>
梅田投手の涙が印象的でした。試合直後の悔しい気持ちをこらえながら、自身の投球の何が悪かったのか、冷静に省みて、しっかりと課題を特定していました。2回戦で先発し8回1失点の好投で得た自信と、準決勝で敗戦投手になった落胆。初めての都市対抗で両方を経験したことが、今後の一層の成長につながるのではないかと期待を抱かせてくれました。
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