
「検察の都合のいいようにあれもだめこれもだめでは困る」えん罪被害者を救済する再審法の改正案に反発の声 袴田巖さんのような被害をなくすために...姉・ひで子さんは静かな怒り

70年以上変わらぬ法律
再審=裁判のやり直しについて定めた、いわゆる再審法が大きな転機を迎えています。
袴田巖さんのような被害者を再び生まないための法改正に向けた議論は佳境に差し掛かりましたが、今週まとめられた案には「救済を妨げる改悪」など、反発の声が上がっています。
<袴田巖さんの姉 ひで子さん>
「検察の都合の良いように、あれもダメ、これもダメでは困る」
静かな怒りを表したのは、袴田巖さんの姉・ひで子さんです。苦言を向けた先にあるのは、再審法の改正に向けた議論の現状です。
刑事訴訟法の中の再審に関する規定はいわゆる「再審法」は70年以上、一度も変わっていません。
条文を見ても審理の進め方や証拠開示の方法などは示されておらず、検察の都合に翻弄される制度との指摘も出ています。
「証拠開示」が再審開始につながる
袴田さんのケースで再審開始の決定打となったのは、検察から開示された証拠でした。

事件から40年以上が経ち、ようやく開示された犯行着衣のカラー写真やネガ。着衣についていた血痕の赤みが袴田さんの再審開始につながったのです。
<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士>
「やっぱり、証拠開示で出てくる証拠は、検察官が公判には出さないでおこうと判断した証拠ですよね。被告人にとっては、弁護人にとっては、みんな有利な証拠なんですよ」
かつて再審開始を決定した元裁判官は「改悪」と反発
現行の「再審法」では、弁護側が求めても検察に開示の義務はありません。

再審法の改正について議論する法務省の諮問機関「法制審議会」。
証拠開示の規定や再審決定後の検察官による不服申し立てを禁止するかどうかなど、15回にわたり、議論が進められてきました。今週、まとめられた案では証拠開示の条件について裁判所が「再審請求の理由に関連する」と認める場合と規定されました。
この案について、かつて袴田さんの再審開始を決定した元裁判官で、現在は法制審議会の委員を務める村山浩昭さんは、「改悪」だと猛反発します。
<村山浩昭弁護士>
「(開示する証拠を)関連性で切っていく立場になると、大変。再審請求の門はうんと狭くなるということが、実務上必ず起きると思います」
弁護士側からすると捜査機関が管理する証拠は把握しきれないため、裁判所が考える関連性のあるなしに関わらず公開すべきと主張します。
さらに今回の案には、「検察官の不服申し立てを禁止する」規定は盛り込まれませんでした。
<村山浩昭弁護士>
「再審請求をするものにとって、有益な法改正になるとは到底思えません」
袴田さんのような冤罪被害者を今後、生まないためにー。再審法は、えん罪被害者を救う最後の砦となるような改正が求められます。
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