2026年1月25日

【第61回関東高校演劇研究大会〈三島会場〉最終日 】駿河総合に優秀賞! 最優秀は松戸(千葉代表)
(文・写真=論説委員・橋爪充)
◇下妻第一(茨城) 冨山望/作(既成)「エレノア・トレントのタイム・ゴーズ・バイ」インターネット上で見つけたエレノアという若い女性の手記を、高校演劇部が作品化しようとするが、稽古を進めていくうちに、戦争に巻き込まれていく同世代の物語を自分たちが演じていいのか、葛藤が生まれる。稽古場とエレノアの物語の往還を照明の強弱などで分かりやすく表現。冒頭で波を表現したブルーシートが別の場面では難民キャンプのテントとして活用されるなど、小道具の使い方が巧みだった。

◇浅野(神奈川) 末松充羽/作(創作)「ルール・ブルー」
舞台は近い未来か。人間は一人一人、さまざまな成果をAIに評価され「S」「A」「B」「C」にランク付けされる。さまざまなランクの生徒が混在する高校の教室では「ポイントをためるために綿密な計画を立て、その通りに生きている」とうそぶく「S」の生徒がいる一方、どうして自分が高評価を得るのかがよく分からない「S」もいる。目に見えない評価軸に縛られる高校生たちの悲喜こもごもは、むしろ社会人に強く響くのではないか。

◇東村山(東京) 東村山高校演劇部/作(創作)「エンカレ」
2010年から「学び直し」を掲げた「エンカレッジスクール」として教育を行う同校の日常を、かなりリアルに(であろう)せりふでつづった。あえて台本をカチッと決めない方針のようで、言いよどみや言葉の繰り返しも「雑談の再現」として受け止められた。入学時のエピソードや部室や教室でのやりとりが実に生き生きと描かれていた。部の雰囲気を舞台化するという「難題」を見事にクリア。

◇市川(千葉) 山田一彰/作(創作)「団地くん」
高度成長期に建てられたとおぼしき公営団地は高齢者ばかりが住む、ゴーストタウン一歩手前の惨状。そこに市長肝いりの再開発計画が持ち上がり、団地を「ふるさと」と感じる通称「クソババア」や小6男子ころなやYouTuberたちが反対運動を展開する。彼らの、そして団地に取りついた地縛霊「団地くん」の運命やいかに―。最初から最後までノンストップでギャグが詰め込まれた、極上のコメディーだった。

◇星陵(静岡) 畑澤聖悟/作(既成)「アメイジング・グレイス」
静岡県大会優秀賞を得て出場。桃太郎の襲来から200年以上たった鬼ケ島に移住し、ただ一人の人間の生徒として「鬼と人間の架け橋」を目指すトモカ。日本を取り巻く情勢悪化にともない、鬼ケ島には難を避けて移住する人間が増えていき―。歴史教育、差別問題、移民・難民問題など現代日本に横たわる諸問題を、鬼と人間の関係に託して描いていた。

◇甲陵(山梨) 永田結楓/作(創作)「日のあたる方へ」
昭和初期、山梨県の山村に東京の師範学校を卒業した女教師がたった一人で現れる。小学校を出た子どもたちが学べる場所を作りたい、というのが彼女の望み。「女は学問不要。働き手として生きるべし」という農村の価値観から真っ向から対立する女教師の夢はかなうのか―。史実を基にした丁寧な台本が印象的。当時の女性の労働環境や社会的地位を、会話の中で正確に表現していた。
◆審査結果
最優秀賞 松戸「Happy Days」※全国大会出場
優秀賞 駿河総合「ヒトリダケノ」
水海道第一「ひとにぎり」
浅野「ルール・ブルー」
市川「団地くん」
優良賞 浜松聖星(静岡)、新渡戸文化(東京)、身延(山梨)、神奈川大附属(神奈川)、下妻第一(茨城)、東村山(東京)、星陵(静岡)、甲陵(山梨)
創作脚本賞 末松充羽(浅野)「ルール・ブルー」

◆駿河総合松下明奈部長(2年、愛架役)の話
「関東大会初出場で優秀賞もいただけて、びっくりしました。ちょっと涙が出ちゃいました。本当にうれしい限りです」
-今回の演目(1月24日上演)の手応えはいかがでしたか。
「(地区大会、県大会と合わせて)3回目の作品なので、全てが完璧ではないけれど、関東大会で出せる最高のパフォーマンスを出し切れました。今までで一番成長した姿を出せたんじゃないかと思います。それぐらい全力で取り組めました」
-序盤からお客さんをつかんでいましたね。
「(幕開け直後に)客席に愛架が入ってお客さんを応援するところで、皆さんに笑っていただいて。これまではあそこまでの反応はなかったので、今日はいい会場だなと思って(笑)」
-これだけ高い評価を得たことについてはどう感じていますか。
「今年、 1年生がたくさん入ってくれて(10人入部)、去年の倍以上になったんです。みんなで作り上げた作品がこうやって賞をいただけたのは、一生忘れられない思い出になるんじゃないかな」
静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。
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