2026年3月24日

サッカージャーナリスト河治良幸
静岡から世界へ!森保ジャパンが挑むイギリス遠征。後藤、鈴木、伊藤、小川―県勢4選手はW杯への切符を掴めるか
前回から連続の招集となるFW後藤啓介(シント=トロイデン)、長期の怪我からようやく復帰し、代表も約1年ぶりとなるDF伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)というジュビロ磐田ユース出身の二人、3ヶ月後のW杯を前に主力定着を図りたい元清水エスパルスのMF鈴木唯人(フライブルク)、オランダでアピールを続ける元磐田のFW小川航基(NECナイメヘン)の4人に活躍の期待がかかる。
一方で、“森保ジャパン”に招集経験のある有望選手から静岡学園出身の旗手怜央(セルティック)や関根大輝(スタッド・ランス)、昨夏の怪我から完全復活したJFAアカデミー福島出身の三戸舜介(スパルタ)、ポーランドで評価を高めて、現在はイングランドのチャンピオンシップ(英国2部に相当)での活躍が目をひく元磐田ユースの森下龍矢(ブラックバーン)などが、今回の選出は無かった。
“ロス五輪世代”の後藤は昨年11月シリーズで初招集されると、ガーナ戦とボリビア戦の2試合で短い出場時間ながら、FWとしての役割に加えてシャドーでも適性を示しており、複数ポジションでの起用を見据えた評価を得ている。それにより上田綺世(フェイエノールト)や小川、町野修斗(ボルシア・メンヒェングラートバッハ)との併用も可能になったことは生き残りに向けて、大きなアピール材料になる。
さらにベルギーで10得点5アシストを記録するなど、ゴールに直結する仕事でも高いパフォーマンスを見せているが、FWは本大会での躍進の切り札となりうる同世代の塩貝健人(ヴォルフスブルク)が初招集されたことで、前線の競争はさらに活性化している。途中出場がメインながら、決定力で違いを見せる塩貝はライバルでありながら、良い刺激にもなる存在だ。
鈴木は攻撃センスの高さを新天地のドイツでも見せており、19日に行われたヨーロッパリーグのラウンド16では伊東純也を擁するベルギーのゲンクを相手に、フライブルクの勝利を決定付けるチームの4得点目を記録した。流れからチャンスに絡めるだけでなく、セットプレーのキッカーとしても優秀で、南野拓実(モナコ)を欠くシャドーのポジションで、救世主的な活躍も期待できる。
ただし、同ポジションで主力に定着するためには守備のハードワークや周囲へのサポートなど、戦術的なタスクをこなすことが大前提になることは間違いない。その上で、自身のスペシャリティであるドリブル前進力や打開力、卓越したキックでフィニッシュに関わるプレーを発揮できれば、北野颯太(ザルツブルク)や旗手など、今回選外となった有力候補も多いポジションにおいて、中心的な存在へと近づくための足がかりを掴むことができるはずだ。
カタールW杯の経験者でもある伊藤は所属クラブのバイエルンで、公式戦に復帰した直後というタイミングでの代表復帰となる。もちろんコンディション面の確認は前提となるが、伊藤が不在だった1年で評価を上げた鈴木淳之介(コペンハーゲン)も有力となる3バックの左で、欧州の強豪を相手に改めて実力を示したい。
オランダで成長を続けてきた小川は、アジア最終予選では上田とともに“森保ジャパン”の前線から牽引してきたが、従来のライバルである町野に加えて後藤や塩貝も台頭してきたFW陣の競争の中で、結果によるアピールが不可欠な立場にある。欧州で培った決定力を代表でも示せるかが評価の分かれ目となり、スコットランドやイングランドはそのための格好の相手だろう。
W杯の出場国でもあるスコットランド、イングランドとの2試合はプレーの強度やフィジカル的な負荷が高くなることが予想され、本大会を想定した実戦的なテストとなる。その中で静岡にゆかりのある選手たちがどのような結果を残すのか。それぞれの現在地と代表内での立ち位置を明確にするイギリス遠征となりそうだ。同時に旗手や森下、三戸など今回は招集されなかった選手たちも、残された期間でアピールを続けて、最終的な滑り込みに希望をつなげて欲しい。
(文:サッカージャーナリスト河治良幸)
タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。
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