2026年5月18日

サッカージャーナリスト河治良幸
伊藤、後藤、鈴木唯ら静岡県勢も選出!北中米W杯に挑む26人のメンバーを読み解く

アジア予選から本大会まで積み重ねてきた歩みを振り返りながら、森保監督は「今日選べるのは26人しかいませんが、一緒に戦ってくれた選手、思いを持ってくれた選手に感謝申し上げたい」と語る。ここからの準備に関しては改めて「凡事徹底」という言葉を口にする。そして「W杯は特別な舞台だが、特別だから何かを変えるのではなく、当たり前のことを当たり前にやる。最善の準備をして、タフに粘り強く最後まで戦い抜く」と決意を示した。
静岡県勢ではジュビロ磐田アカデミー出身のDF伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン/ドイツ)、同じく磐田育ちのFW後藤啓介(シント=トロイデン/ベルギー)が選出された。さらに、清水エスパルスから欧州へ羽ばたいたMF鈴木唯人(フライブルク/ドイツ)、磐田でプロデビューし、横浜FCからオランダに渡ったFW小川航基(NECナイメヘン/オランダ)も念願のW杯メンバー入りを果たした。
デンマークのコペンハーゲンから5大リーグのドイツ1部にステップアップした鈴木唯は、3月のイギリス遠征でも好アピール、森保監督の評価を高めたが、今月3日のヴォルフスブルク戦で右鎖骨を骨折。大会出場も危ぶまれたが、森保監督は「プレーできるかどうかの所見はプロフェッショナルであるドクターが実際に見て診断を下す」と説明。本大会までに回復可能と判断し、選出に踏み切った。
一方で、大きな話題となったのがカタールW杯からの主力メンバーである三笘薫(ブライトン/イングランド)の選外だった。森保監督は「大会期間中に復帰は難しいということで、メディカルから報告を受けて選出を断念しました」と説明。「本人が一番つらいと思う。本当にこれまでの貢献に感謝したい」とエース不在への複雑な思いを語った。
指揮官が強調したのは代表チームの“総合力”だ。昨年のブラジル戦で三笘が不在ながら歴史的勝利を収めたことを引き合いに「誰が出ても機能するというチームの総合力で戦えている」と強調。「誰かが欠けたら終わりではなく、みんなで勝っていく」と語り、組織として世界に挑む姿勢を示した。
負傷明けの選手ではキャプテンの遠藤航(リバプール/イングランド)、長期の離脱から復調中の冨安健洋(アヤックス/オランダ)の状態にも注目が集まった。森保監督は遠藤について「キャプテンとして常にチームを支え鼓舞している中心」と信頼を寄せ、冨安についても「W杯基準を確認できた。コンディションは上がっている」と説明。経験とリーダーシップを重視した編成であることをうかがわせた。
5大会連続W杯メンバー入りとなった長友佑都(FC東京)も右ハムストリングの負傷から復帰してまもないが、豊富な経験と不屈のメンタリティを重視。「成果も課題もすべて知っている存在」であり「プレーヤーとしてだけでなく、コミュニケーションでもチーム全体に影響力を及ぼせる」と心身両面での役割に期待を寄せた。
ロス五輪世代の塩貝健人(ヴォルフスブルク/ドイツ)と後藤を揃って選出したことに関して、森保監督は「成長曲線を見た時に、大会期間中もさらに成長してチームの力になってくれる」と説明し、現時点の実力だけでなく、ここから本大会での伸びしろにも期待している。かねてから同等の実力であれば、若い選手を優先する方針を示唆していたが、北中米大会で勝つことはもちろん、次のサイクルへの橋渡しも意図していると考えられる。
バックアップメンバーは非公表となったが、対象の選手には直接伝えることを明かした。会見中に涙を見せた理由について、森保監督は「舞台に立ちたいと思っていても、思いをかなえてあげられなかった選手たちの思いを考えると感情をコントロールできなかった」と吐露。最後の最後までコーチ陣と議論を重ね、「今朝、自分の中で最終的に決めた」と明かした。
昨年暮れに左膝前十字靭帯断裂という大怪我を負った南野拓実(モナコ/フランス)や三笘といった怪我を理由に招集を断念した選手はもちろん、ここまで”森保ジャパン”に関わってきたメンバーを選べないというのは代表監督にとって最大の苦渋でもあるだろう。来シーズンの復帰に向けてリハビリ中の南野に関しては、代表チームを支えるメンターとして帯同させる方針で交渉中であることも明かした。
主力の離脱という逆風を受けながらも、森保監督は「目標に変わりはない」と断言。悲願のW杯優勝を目標に掲げる。「みんなで勝っていく、みんなで成長していくことを、これまで通りやっていければ」と森保監督。斉藤俊秀、名波浩、前田遼一、長谷部誠、中村俊輔と静岡に縁のあるコーチが揃う”森保ジャパン”は26人のメンバーとともに、日本サッカーの歴史を背負って北中米の舞台へ挑む。
(文:サッカージャーナリスト河治良幸)
タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。
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