2026年6月2日
河治良幸

サッカージャーナリスト河治良幸

ジュビロ磐田ゆかりの3選手が国立で奮闘!小川航基の決勝弾でアイスランドに勝利。北中米W杯へ確かな手応え

ジュビロ磐田にゆかりのある3人の代表戦士が、北中米ワールドカップ前最後の国内テストマッチとなったアイスランド戦で同じ国立のピッチに立った。伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)、小川航基(NECナイメヘン)、後藤啓介(シント=トロイデン)。欧州の地で成長してきた3人が、それぞれが異なる役割を担いながら、日本代表の1-0勝利に貢献し、本大会へ向けて確かな手応えを残した。

伊藤は前半14分、キャプテンとして先発した吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)との交代で投入された。3バックの左に入り、試合終了までプレー。久々に 板倉滉(アヤックス)や 冨安健洋(アヤックス) と代表の最終ラインを形成したこともあり、細かな連係面ではまだ手探りな場面も見られたが、高さのあるアイスランドの攻撃に粘り強く対応。ビルドアップでも左足の配球能力を発揮しながら、無失点勝利を支えた。長期離脱から復帰した守備の要が、90分近くプレーできたことは、日本にとって何より大きな収穫だった。

一方、勝利の主役となったのは後半から投入された小川だった。

後半開始から 上田綺世(フェイエノールト)に代わって1トップに入り、3-4-2-1から3-3-2-2にシステムチェンジした終盤には、かつてのチームメイトでもある塩貝健人(ヴォルフスブルク)と2トップを形成。試合が膠着する中でも、ゴール前で絶えず動き直しながら好機をうかがった。

そして迎えた後半42分。相手陣内のビルドアップから、右サイドでボールを持った菅原由勢(ブレーメン)が左足から持ち替えた右足でクロスを送り込むと、相手ディフェンスの合間に入った小川が得意のヘディングで合わせて決勝点。このシーンに関して、小川は前半から菅原とコミュニケーションを取っていたことが生きたと明かした。

「この試合は最初の1点が絶対に大事になってくると思っていたので。どんな形でもいいから、とりあえずボールをゴールの前に運んで、なんとしても1点を取ってっていうのをしたら、試合は変わるというふうに(菅原)由勢とすごい話していた」

さらにハイドレーションブレイク中には、求めるクロスの位置まで具体的に伝えていたという。「俺がいるディフェンスの前にボールをくれと伝えて。そうしたらすぐに修正してきたので。本当、その能力というか、素晴らしいなと思います」と小川。まさに狙い通りに生まれた一撃だった。

高さのある相手を崩せず苦戦した試合展開についても、小川は「固められた相手を崩して点取ることほど、技術の差は無いと思うし、クロスで1つマーク外して取るというのが、現在のサッカーですごく大事な部分だと思っている」と語り、クロス攻撃の重要性を強調する。その上で「点を取るということに関しては、やっぱり僕が一番だと思ってるし、そこで負けるつもりもない」と力強く言い放った。

また、この得点は個人の力だけではなく、新たな攻撃システムの成果でもあった。小川は「(後藤)啓介とか(塩貝)健人とか、人数がそもそもゴール前にいるっていうので、ディフェンスもそれだけマークつかなきゃいけない」と振り返り、「個人というよりかはチーム戦術として、うまくハマった。戦術ありきのゴールだったと思います」と分析した。その戦術の鍵を握ったのが後藤だった。

後半28分から投入された後藤は、森保監督が勝負に出た3-3-2-2の左シャドーでプレー。実質的には前線に3枚を並べるような形となり、得点を奪いにいく明確なメッセージが込められていた。後藤自身も「点を取りに行くフォーメーションなので、しっかりゴール前に入っていくのと、うまく散らしながらと言われた」と振り返る。

実際に後藤は前線で起点となるパスを供給しながら、小川や塩貝とポジションを使い分けて攻撃を活性化。得点場面では、小川、塩貝、後藤の3人がニア、中央、ファーに分かれて侵入し、相手守備陣を混乱させた。「まずはかぶらないっていうことと、しっかりニア、ファー、真ん中という3ポイントに入ることを意識していました」。そう振り返る後藤は、自身がファーサイドへ走り込んだことで相手の視線を引き付け、小川をフリーにできたと分析する。

「相手からしたら付きにくいというか、2センターに対して3枚いるので、誰を見たらいいのか分からない。実際、航基くんのゴールに関しては相手も全然つけてなかった。本当、3人で前に出た良さが出たかなと思います」

後藤はリードを奪った後のクロージングでも5-2-3と5-4-1を使い分ける守備の仕事で大きく貢献した。後藤は「自分の方は下がりすぎず、相手のセンターバックとサイドバックにプレス行けるように準備してましたし、ロングボールが来た時にはしっかり戻って、セカンドボールだったり、ロングボールに対して準備できていたかなと思います」と振り返る。

勝利への執着を口にし続けた後藤らしく、攻守両面でチームの勝利に貢献した。アカデミー育ちの伊藤と後藤、そして高校から磐田でプロデビューした小川。それぞれ異なる形で日本代表の勝利を支えたアイスランド戦だったが、北中米W杯で大きな仕事が期待されるという意味では変わらない。今回はスタッフにも名波浩、前田遼一、中村俊輔の3コーチが名を連ねている。磐田にゆかりのある彼らが日の丸を背負い、”森保ジャパン”の躍進に貢献していけるか。今から楽しみだ。
(文:サッカージャーナリスト河治良幸)

タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。

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