
物価急上昇!従業員の賃金アップへ向け中小企業の模索続く 背景には深刻な人材不足 オリジナルの価値を出せるかどうかがカギに=静岡

気持ちも新たに4月を迎えましたが、2026年度も気になるのは私たちの給料です。物価が急ピッチで上昇する中、3年連続で従業員の給料を大幅に上げた会社があります。
一見、喜ばしいように見えますが、背景にあるのは深刻な人材不足。企業側の模索が続いています。
焼津市に本社を置くスーパー田子重。2026年、11人の新人を採用しましたが、その給料に注目が集まっています。
なんと田子重は3年連続で新卒の初任給を3万円ずつ上げ続けているのです。
大卒の場合、3年前は月22万円だった給料が、2026年は31万円になっています。
<新入社員>
「私は、プライベートも楽しく充実させたいと、元から思っていたのでそういう面でも、田子重の給料はすごく魅力的だなと思います」
背景にあるのは人材の確保です。
<田子重 曽根誠司会長>
「給料を上げないとまず募集に(対して)人に来てもらえない」
就業時間が不規則になりがちで高待遇ではなかった小売業界は、新卒採用で後れを取る状況が長年続いてきました。
そんな状況を打破するために異例の賃上げに踏み切ったのです。
<田子重 曽根会長>
Q. そこまでしても新たな社員が欲しい理由は?
「会社が成長していく上で、お店の数を増やすと時には、中核となる社員が必要です」
少子化で新卒の人数が減る中、ぎりぎりではあるものの将来の幹部候補生を確保できているそうです。
恩恵を受けているのは新卒だけではありません。
田子重は既存の従業員も大事にしていきたいと3年連続で3万円の賃金ベースアップを続けています。
<望月美希さん 入社8年>
「会社自体が従業員全員が頑張っているのを見てくれているんだなと言うのは感じます。初任給だけを変えるのと、全員を変えるのでは目的が違うのでその辺の気持ちは伝わります」
賃金を上げることが現実的ではないという事例も...

帝国データバンクによりますと、2026年度、賃金の改善を見込んでいる県内企業は64.3%。3年連続で前の年を上回り、過去最高を更新しました。
そうしないと人材を引き留めることができないとの危機感があるためです。
ただ、賃金を上げることが現実的ではないという企業も。
静岡市駿河区にある金型製造メーカー「佐藤ライトモールド」は従業員16人の中小企業です。
長期的な目線で若い社員の採用を促進したいといいますが…
<佐藤ライトモールド 稲垣武洋取締役>
「中小企業と言うと大企業と比べてどうしても利益幅が少ないという所があって、初任給をあげたのはいいけれども設備投資ができなくなった、今いる社員がそれで不満に思ったりとかそういうことを考えると中小企業にとっては賃上げは難しいなと思っています」
従業員がワークライフバランスを重視するのは理解しているものの、賃上げを含めた大企業ほどの待遇改善は難しいと話します。
オリジナルの価値を出せるかどうかがカギ?
経済の専門家は、それでも企業は賃金を上げざるを得ない状況に追い込まれていくのではないかと指摘します。
<静岡経済研究所 西谷直樹主任研究員>
「少子高齢化を伴う人口減少という世界においては、どうしても物価が上昇していくというトレンドは続いていくと思いますので、小幅でも継続的に持続的に(賃金を)上げていくのが重要になるかなと思います」
このところ給料は上がるというニュースが多くみられますが、その裏には企業努力をせざるを得ない状況があります。
静岡経済研究所の西谷さんの話では、実は静岡県内は賃金の伸びが弱いということです。
佐藤ライトモールドのような製造業の多い県内は、海外製品との厳しい競争にさらされていて利益の確保が難しいのが一因とみられています。
今後、町工場などの中小企業はオリジナルの価値を出せるかどうかが賃金アップのカギになりそうです。
「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA










