
創業102年の町工場が放つ“飾るための美” 老舗「今泉鋳造鉄工所」の新ブランド「鈍華」 鉄のアートで鋳物の魅力を発信【しずおか産】

町工場が新たなブランド「鈍華(にびか)」立ち上げ
普段は表に出ることの少ない町工場の技術から新しいブランドが誕生しました。
産業用部品の心臓部を製造してきた鋳物の技術が、“飾るための美”として新たな輝きを放ち始めています。
溶けた金属が弾け、火花を放つ鉄工所。オレンジ色の輝きが、工業の美を映し出します。産業用機械の部品を作ってきた町工場が新たなブランドを立ち上げました。
<今泉鋳造鉄工所鋳造課 四反田遼溶解班長>
「一般のお客様に届けるような、直接見て飾ってくれたりしてくれるので今までより満足度も高いのかなと思います」
今回のしずおか産は、鉄のアートブランド「鈍華(にびか)」です。手掛けるのは、静岡市駿河区にある老舗「今泉鋳造鉄工所」。コンプレッサーや空調機の部品などを製造しています。
1500℃の炎から生まれる産業の心臓部
<今泉鋳造鉄工所鋳造課 四反田溶解班長>
Q. 真っ赤な炎が見えますが、こちらでは何を作っている?
「仕入れたスクラップを溶かしていくつか材料を組み合わせて成分を整えて製品にしています。MAXで1500℃くらいまで上げているので夏場はすごいことになります」
日本のものづくりを支えてきた町工場ですが、自社製品が表に出ることは少なく、いわば「黒子」の存在でした。そんな創業102年の老舗は大きな課題に直面しています。
<今泉鋳造鉄工所 今泉豪樹専務取締役>
「今、製造業の課題として人を集めるのがどうしても課題になってくるところなんですけど、鋳物を一般の方に知ってもらって、こういうことをやっている会社があるんだということを広めていくことが大事なのかなと思った」
暮らしの中で手に取れる製品を作り、鋳物の魅力を伝えたい。その思いから生まれたのが、花瓶「鈍華」です。
<今泉鋳造鉄工所 今泉豪樹専務取締役>
「今ちょうど砂が出てきました。砂を型の中に入れて砂の型を作ります。直接お客さんに渡るものなのでより注意をして砂を込めていきます」
1つ1つ手作業で造られる一点ものです。
若手女性従業員がデザイン 静岡茶で仕上げる「黒」
激しく燃え盛る鉄は冷やされ、形を整え、やがて静けさをまとった花瓶へと姿を変えます。デザインを手掛けたのは、若手の女性従業員です。
<今泉鋳造鉄工所 生産技術課 今泉彩花さん>
「この茶葉を入れて沸騰させていきます。お茶のタンニンを使ってさび止めの効果を(出す)」
静岡茶で煮込むことでさびを防ぐとともに、空間を引き締める「黒」が生まれます。
これまで求められてきたのは「正確さ」でしたが、鈍華に必要なのは「美しさ」です。
<今泉彩花さん>
「鋳物、部品はなかなか目につかない。こういうものであれば鋳物に触れることもできますし、こんなに重いんだとか知ってもらえるきっかけになればと思っています」
残した重みによる安定感と手触り
重さは300グラム。あえて残した重量が、背の高い花でも倒れにくい安定感を生んでいます。
さらに今、海外でも人気のダルマを製作し、販売を始めています。
<今泉豪樹専務取締役>
「第一に鋳物の手触りとか重さをしっかり感じてもらって鋳物を知っていただきたいなと思います」
町工場が生み出す新たな価値。「黒子」だった技術が、今、光を浴び始めています。
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