2023年8月11日

【長浦京さんの小説「リボルバー・リリー」】見てから読むか、読んでから見るか

8月11日公開の映画以上に「痛み」が伝わる作品。銃創の痛み、関節が外れる痛み、両手で喉を抑えられる痛み―。主人公のスナイパー小曾根百合、家族を惨殺された細見慎太の心の痛みも押し寄せる。大量の血が流れ、悲しみの連鎖が続くが、なぜかページを繰る手が止まらない。先の見えない逃避行、死と背中合わせの疾走に不思議なカタルシスがある。大正期のタバコの銘柄、喫煙の描写がたまらなくいとおしい。強烈に「句読点」を感じる。
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