
【演劇ユニットHORIZONの第19回公演「monoclone」】 50センチ先からの「圧」
静岡新聞論説委員がお届けする“1分で読める”アート&カルチャーに関するコラム。8月3、4日に行われた同市を拠点にする演劇ユニットHORIZONの第19回公演「monoclone」から。会場は静岡市葵区のLIVE ROXY SHIZUOKA。
観客を「幻想九龍城」のツアー客に見立てたイマーシブ(没入型)シアター。ライブハウス内に仕立てられた四つの部屋を行き来しながら鑑賞する。失踪した人魚姫の行方を巡って、城内の3勢力の権謀が渦巻く。
フロアに入ると有無を言わさず物語に組み込まれる観客は、同時進行する三つの物語を自由に目撃することが許されている。だが、当然のことながら筋立ての全容を知ることは不可能だ。裏を返せば、終演後に観客一人一人に固有の物語が残るという仕掛けと言えよう。
高架下の空間を完璧に「城」に仕立てた脚本と制作陣に感服。入場時に手渡された祝宴の「招待状」、さり気なく置かれた「人魚姫」の単行本などあらゆる点で「一切手を抜かない」気概に満ちていた。そして何より、観客の間を行き来し、近い距離で目と目を合わせることをいとわない俳優たちには、暴力性を伴う本物の「圧」を感じた。各人から強い「気」が放たれていた。(は)
静岡新聞の論説委員が、静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。
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