2025年1月19日

【第70回浜松市芸術祭 はままつ演劇フェスティバル2024「オムニバス公演」】 容原静さん、演劇ユニットデッグデッグアー、会心之一撃団。満腹で帰路に

1928年に浜松警察署庁舎として建設され、2013年からは文化拠点として活用されている歴史的建造物の一室で、県内外の劇団の演目が入場料1000円で三つ見られる。足を運ぶ側にとっては「お得」だが、安かろうまずかろうでは決してない。18日午後7時の公演を見たが、各30分ほどの3演目はそれぞれに強烈な色が感じられた。満腹で帰路に就いた。

静岡県西部の高校演劇部卒業生による「演劇ユニットデッグデッグアー」の「十日後に騙される男」は、偽装結婚を迫る女、ギフトカード詐欺を持ちかける女の間で右往左往する男の10日間。急死した女友達のささやき声にも翻弄され、流されるようにして無為に時間が過ぎていく。悲劇的な結末は自業自得とも言えるか。ジャック・ホワイトの歌声、色彩的な工夫も印象に残った。
静岡市を中心に活動する「会心之一撃団」の「裏表/新訳『そば清』」は、落語「そば清」を映像を交えて現代的に解釈。そばの大食い、うわばみと薬草といった原作のモチーフを、パンの大食いに挑戦するYouTuberに置き換えた。食パン60枚に挑戦する映像の男と、目の前でパンを食べる男。どちらが虚でどちらが実なのか。境目を見失う瞬間があり、演劇のスリリングさを味わった。
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■第70回浜松市芸術祭 はままつ演劇フェスティバル2024「オムニバス公演」
【19日の公演予定】
午前11時開演 おはなつみっこ、会心之一撃団、容原静
午後1時半開演 演劇ユニットデッグデッグアー、試験管ベビー、Moipa Miraミラミラ
午後4時開演 といしば企画、容原静、流体プリズム
会場:浜松市鴨江アートセンター(浜松市中央区鴨江町1)
観覧料:1000円(各回34席)
※チケットは完売の可能性あり。詳細、チケット予約は浜松アーツ&クリエイションの公式サイト(https://www.hamamatsu-artscreation.jp/event/event-2662/)参照
静岡新聞の論説委員が、静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。
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