
「頑張って作ろうという矢先でショック」特定外来生物『ヌートリア』稲への被害深刻...収穫量2割減少見込みの地域も=静岡

コメを食べられるありがたみを実感する日々が続くなか、稲を食い荒らすヌートリアが農家を悩ませています。浜松市の生産者は2025年の収穫量が約2割減ると話し、深刻な状況です。
浜松市の水路脇に仕掛けられたわなに入っていたのは、特定外来生物ヌートリアです。南米原産の大型のネズミで、日本には太平洋戦争の前に軍服の毛皮として利用するために持ち込まれたといわれています。浜松市は業者に依頼し、捕獲を進めています。
<ルーツジャパン 岡本浩明理事長>
「一番は農業被害です。コメとか野菜を食べてしまう」

農林水産省によりますと、ヌートリアによる農作物への被害額は、1年間で約5000万円。過去5年間、横ばいです。このうち、約半分はコメへの被害です。
浜松市浜名区三ヶ日町でコメを作っている、河合さんです。2025年に収穫する田んぼの稲がヌートリアの被害を受けました。
<大崎地区埋立組合 河合実代表>
「御覧の通り、(ヌートリアの)通り道もありますし、稲が倒れていて、食べられたあとも分かる。ここは大崎地区なんですが、全体を通して収穫は2割前後の減少が予測できます」
三ヶ日町の大崎地区では毎年約20トンのコメを収穫していますが、2025年はヌートリアの影響から収穫量が減る見込みで、生産者は肩を落としています。
<篠原大和カメラマン> (2018年)
「ヌートリアとみられる動物が現れました。土を掘り返しています。何かを食べているようです」
2018年、浜松市の佐鳴湖でSBSのカメラがとらえたヌートリアの姿です。浜松市ではここ数年ヌートリアの目撃情報が増加傾向にあります。

浜松市によりますと2021年度は229件。2024年度は619件と、その数は倍以上に。地元の農家によりますと目撃情報の増加と比例してコメへの被害も増えているといいます。
<河合代表>
「我々生産者が頑張って作ろうという矢先でこういう形でヌートリアにやられてショックを受けているが、頑張って作業に励んで生産していきたい」
コメの高騰を巡り、2025年の新米には大きな期待がかかっていますが、かつて私たちが自分たちの都合で持ち込んだとされる外来生物が影を落としています。
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