
なぜ警察官は剣道・柔道に汗を流すのか…求められる「現場執行力」と「精神力」=静岡県警

残暑厳しい8月26日、午後4時の道場にはリズミカルな受け身の音と掛け声がこだましていた。

静岡県警本部が実施した柔剣道の夏季訓練。この日が静岡県で100回目の訓練となる県警トップの津田隆好本部長の姿も。9月に異動を控えるため、この日が最後の訓練となった。
なぜ、忙しい業務の合間を縫って訓練に参加するのか、津田本部長が意識するのは「トップの姿勢」だ。

<静岡県警 津田隆好本部長>
「本部長とはいえ、心身を鍛えなければならない」

静岡県警では警察官は柔道か剣道のいずれかを選択し、職務として訓練に取り組むこととされている。中でもトップクラスの選手は全国の都道府県警察の代表と戦う大会もある。しかし、これらは楽しむためのスポーツではない。あくまで業務の一環だ。
治安を守る警察官はいつ有事に巻き込まれるか分からない職業。場合によっては刃物を持った凶悪犯とも戦わなければならない。そんな時に相手を制し、市民を守るための体力・技術は欠かせない。
その「いつか」のために訓練を重ねている。もちろん失敗は許されない状況。もしもの際は普段の積み重ねがものを言うため、厳しい訓練を重ねる必要がある。

静岡県警ではあえて夏と冬にこうした訓練を実施する。猛暑が続く中、扇風機のみの道場は危険なシチュエーションともいえ、そのやり方は時代遅れではないかとの指摘もある。
ただ、事件はいつ起きるか分からない。炎天下に通り魔が現れたら?台風の中、連続窃盗が起きたら?悪条件の中でも治安を守る警察官は耐えうる精神力と体力が求められる。
もちろん道場では水分補給などに細心の注意を払っている。自らの心と体を限界に追い込むことが訓練の目的でもある。

訓練は各警察署でも行われる。清水警察署では8月26日、柔道と剣道の夏季訓練納会が開かれた。

若手警察官からベテランの警察官まで約50人が参加。約1か月の集中訓練を終えた警察官らは柔道と剣道の試合を行い、日々の成果を披露した。

静岡県警察官友の会清水支部の宮崎久雄支部長は、「迫力のある試合だった。今後の業務に活かしてほしい」と講評した。
犯罪や犯人は待ってくれない。天候だって思うようにはいかない。それでも市民の安全を守るため、警察官には心身の充実を図る訓練を重ねる責任が求められている。
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