
タクシー代わりの救助ヘリ「自己負担を」救急車待機で「市民にも影響」富士山閉山期の遭難相次ぎ地元は苦慮=静岡

静岡県議会では5月19日、新たに設置された富士山の保全や活用方法について議論する特別委員会が開かれました。閉山期の遭難が相次ぎ、救助活動の費用負担が課題となる中、地元からは自己負担を求める声が相次いでいます。
<県議会特別委員会 遠藤行洋委員>
「安全対策は課題が山積しています。そこで当委員会でも富士登山を実施してみてはいかがかなと」
19日に開かれた静岡県議会の「富士山保全・適正活用推進特別委員会」。2025年に新たに設置されました。
多くの人の心をひきつける富士山。一方で、閉山期間の無謀な登山が一向に減りません。遭難して救助された人も、2025年に入ってから5月18日までに計4人。救出活動の費用負担を遭難者に求めることについては、さまざまな声が上がっています。
地元選出の県議は「対策は必要だが富士山単独では難しいのでは」と話します。
<富士山保全・適正活用推進特別委 四本康久副委員長(富士宮市選出)>
「(富士山で遭難となると)富士宮消防が行ったり、富士宮警察署の中の交番や駐在所で働いている人たちが急遽行きますから。簡単に(救助を)呼んでもらっては困る。知事が先週、国の動向を見ると言っていましたけども、富士山だけ単独でやるというわけにはいかないんじゃないかな」
一方、地元自治体からは閉山期の登山者には自己責任を問うべきとの厳しい声が聞かれます。
<裾野市 村田悠市長>
「タクシー代わりに救助ヘリを使うようなことがあっては、僕は絶対にならないと思っています。僕は自己負担にすべきだと思うし」
<御殿場市 勝又正美市長>
「遭難事故によっては、何日か出動依頼が来ることもあります。そういう時に救急車1台~2台が待機する。そうすると市民の救急体制にも大きな影響もこれが与えています」
こう語るのは、登山口を抱える御殿場市の勝又市長。救助費用の負担についても…
<御殿場市 勝又正美市長>
「やはり税金ですべてが賄われていますので、やはり個人負担というのは当然だと思っています」
一方、小山町長は世界遺産での事故を無くしていくため、国への提案を県と市や町でまとめるべきだと訴えます。
<小山町 込山正秀町長>
「世界遺産としての大きな課題を背負っている。山の事故というのは、ひとつの『汚点』につながるような気持ちですね。(閉山期の登山を抑止する)ハードルを上げるには、一致団結して山のルート(登山口)を持っているところと県としっかり議論して、どういう形にしたらいいか『ひとつのまとめ』を持った中で、国に対してお願いすることも大事かなと思います」
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