2024年6月13日

【文芸誌「漣」11号】虚実皮膜のあわいに漂う

河原治夫さん「五月憂し」が秀逸。痴漢逮捕を報じる新聞事件記事の「訂正」を糸口に、被疑者とされた男性、被害者とされた女性の「それまで」と「その後」を創造。虚実皮膜のあわいに漂う「理屈」「感情」「葛藤」を見事に物語化している。だじゃれと軽口が飛び交う先輩後輩の会話劇を導入に、少しホラー味も感じられるラストまで、手を替え品を替えの話法転換も魅力的。報道機関の権力性への言及には居住まいを正すしかなかった。(は)
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