2026年2月26日

サッカージャーナリスト河治良幸
【静岡ダービー】清水エスパルスが若手の躍動で3発快勝!吉田監督が選手たちに求めるものとは

怪我やアクシデントが重なる磐田は、スタメンのうち3人が大学からの練習生で、後半にも練習生やユース所属の選手などを多く起用した。一方で清水はU-23日本代表のMF嶋本悠大や前体制の主力である松崎快や髙橋利樹、キャプテンマークを巻いた北爪健吾など、トップチームの選手で90分を戦い切った。吉田孝行監督は「今できる人数が少ないというのもあるんですけど、このスタジアム、このピッチでなるべく長い時間やらせてあげたいのもある。静岡ダービーという試合ができるのはチームとしてありがたい」と語る。
前半2分に嶋本が鮮やかなシュートで先制点を奪うと、わずかその2分後には右サイドから中央に流れた松崎が左足のミドルシュートを決めて追加点。さらに17分、トップ昇格1年目の土居佑至が、アルフレド・ステファンスとのコンビネーションを生かして磐田ディフェンスを破り、左足でゴールネットを揺らした。磐田も前半のうちにFWマテウス・ペイショットのシュートがこぼれたところを左サイドから練習生が押し込んで1点を返したが、清水はスタメンの過半数が90分やり切る形で、そのまま逃げ切った。

3点目を決めた土居は「まずは自分でも打つ選択肢を持ちながら、相手ディフェンスとの距離が近くなったタイミングで、うまく外に出せた。そこから自分がゴール前に出たらマイナス気味に、(左のステファンスから)良いパスが来て、あとは決めるだけでした」と振り返る。清水のアカデミー育ちである土居は、そうした攻撃の発想は幼少期から磨いていると言うが、ヴィッセル神戸を2度のリーグ優勝に導いた、吉田監督が求める攻守両面の基準を上げながら、ドリブルや仲間とのワンツーなど、チャンスメイクで違いを出すことをイメージしているという。
中盤でコンビを組んだ嶋本との関係については「自分が持っている特長と彼が持っている特長は違うと思うので。そこをすごく良い連携というか、違った特長があるので。自分は自分で良いところを出しつつ、彼の特長も自分が生かすぐらいの気持ちでやっていきたい」と語る。このゲームの前日、清水はJ1百年構想リーグWESTの神戸戦で、3試合目にして吉田体制の初勝利を飾った。その試合をアイスタのスタンドから観ていたという土居は「選手全員が攻守にわたってアグレッシブなサッカーをしていたので。それが勝てた要因だと思いますし、メンバーに選ばれなくて悔しいという思いも込めて、今日の試合に臨んだ」と振り返る。

先制点に加えて攻守に奮闘した嶋本、2点目を決めた松崎など、昨シーズンから実績のある選手たちは、神戸戦のスタメンからポジションを奪うべくアピールする立場だ。彼らが指揮官の求める高い基準に応えていくことが、清水のチーム底上げになることは間違いないが、この日の主役級の活躍を見せた土居はもちろん、この静岡ダービーに左サイドバックで起用された17歳の針生涼太が突き上げていけば、百年構想リーグを戦いながらチーム力の向上を目指す清水にとって、競争の活性化につながる。吉田監督は彼らの中から「今後フィットしてくるかなという選手はいます」と明言した。
その上で「戦術の浸透はしているけど、ピッチでどう体現するかがまだまだです。選手的には(相手に)寄せてるかもしれないけど、僕の寄せの基準じゃ足りないよとか。そこはもうちょっと感覚を変えてもらわないととか。何人かにはハーフタイムに伝えましたけど、もうちょっと個がある相手だったら、もっと寄せないといけないとか。そういうのも色々やりながら、そうやって少しずつ成長させていければと思います」と語り、今後に向けた選手たちへの指摘も忘れなかった。
百年構想リーグの第4節はガンバ大阪とのアウェーゲームになるが、”静岡ダービー”で吉田監督にアピールした選手たちが、どう起用されて、期待に応えていくのか楽しみだ。
(文:サッカージャーナリスト河治良幸)
タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。世界中を飛び回り、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。








